Thursday, July 25th, 2019
AMELIA EARHART : A SYMBOL OF NEW WOMANHOOD
新しい女性像のシンボル
アメリア・イアハート
イメージを変えた。彼女の伝説は、今日ますます輝きを増している。
骨のそばには、女性物の靴と、ヌーナンによって用いられていた六分儀を入れる箱、そしてハーブ・リキュール“ベネディクティン”のボトルがあった。それはイアハートが飛行中に好んで飲んでいた酒だった。
当時の検死では、骨はがっしりとした男性のものであると結論づけられていた。しかし、最新の法医学コンピューター・プログラム“フォーディスク”による数値解析で「骨は女性のもの。しかし彼女は、当時のヨーロッパ女性の平均より大分背が高い」とされたのだ(イアハートの身長は約170cmだった)。
ここにひとつ問題がある。骨自体が長らく行方不明となっているのだ。だから骨そのものを再検査することはできない(フォーディスクは、当時測定された数値を元に再推論したにすぎない)。
骨が行方不明になったことで、イアハートのミステリーは、ますます伝説的となった。すべてが国家的陰謀による仕業で、彼女は日本のスパイで、シークレット・ミッションを遂行している間に失敗し、日本の刑務所に入っていた……。さらにその後、秘密裏にアメリカに戻って主婦として生き永らえ、ニュージャージーで生涯を終えたというトンデモ説まである。彼女はまさに“列聖”されたのだ。
1990年代には、彼女はギャップとアップルコンピュータの両方の広告キャンペーンに登場し、ギャップのカーキのトラウザーズを宣伝し、アップルの“Think Different”というスローガンを体現してみせた。
“大空のゴースト、彼女は空に、海に飲み込まれた。彼女は空を飛びたかっただけ、まるで私のように……”
1976年にシンガー、ジョニ・ミッチェルが歌った悲しい嘆きの曲『アメリア』のように、イアハートとヌーナンの消息は、われわれの想像をかきたてる。女性版ロビンソン・クルーソーとしての、サンゴ礁でのロマンス、魚を釣って生きながらえる日々、そして誰にも邪魔されない星空の下でのセックスなどなど……。

Amelia Earhartアメリア・イアハート
1897年アメリカ、カンザス州出身。飛行家・パイロット。1932年女性として初めて大西洋単独横断に成功し、一躍時の人となる。1937年7月赤道一周飛行に挑戦中、太平洋上にて消息を絶った。彼女の行方は、前世紀最大のミステリーのひとつとされる。また、その自由奔放な生き方は、現代に至るまで多くの人々の共感を呼んでいる。
レザーコートとレースアップ・ブーツに身を包んだアメリア・イアハート。そのボーイッシュな外見から、バイセクシャルであるという噂があった。シカゴにて(1928年)。