July 2019

今、最も注目したいテーラー、
“SARTORIA CICCIO”に聞いた

サルトリア チッチオに聞いた
100%失敗しないオーダーの心得Q&A

photography tatsuya ozawa

100%失敗しないオーダーの心得Q&A 仕立て編
より上級者を目指すために
Q1:上着は総裏か背抜きか、どうやって決める?
A:「夏は背抜き、秋冬は総裏というのが基本ですが、生地によって変えたりします。例えば、高いスーパーなど、生地が弱そうなものは総裏にしたほうがいい。長持ちしますし、シワにもなりにくい。タクシーなどに乗るときに、いちいち上着は脱ぎませんよね。そういうときに総裏はいいのです。逆にナポリでは、冬物でも半裏にしたりします。これは“スフォデラータ”といって、私の親方はよくやっていました。まあ職人の遊びですね。イタリア風だと思われていますが、親方は『昔のイギリスのテーラーの仕事で見た』と言っていました。まったく裏地を付けない“センツァ・フォーデラ”もあります」

Q2:ナポリの服は、マニカ・カミーチャかノーマルか、どちらがいい?
A:「マニカ・カミーチャにすると、上腕の筋肉を布で包み込めるため、肩幅を小さく作れます。ですから全体的な印象を小さくしたいときに、マニカ・カミーチャは有効です。ウチでは何年かに1回あるかないかのリクエストで、基本的には普通の袖付けです。品格があるのは、ノーマルのほうでしょう」

Q3:サスペンダー、ベルト、サイド・アジャスター、何を選ぶべきか?
A:「実は私は100% ベルト派なのです。スーツのときでも、ベルトは必ずします。アクセサリーをほとんど着けないので、ベルトをアクセントにしているのです。ウチではベルト派50%、ベルトレス派50%、さらにベルトレスの中ではアジャスター派が多数です。サスペンダーは少ないですね。パンツのフィッティングがぴったりめが好きな方はアジャスター、ウエストがキツいのが嫌いな方はサスペンダーがいいでしょう。サスペンダーをせず、アジャスターもつけず、サイドのボタンだけで調節するタイプも多いです」

Q4:ダブルはどんな人が似合う? チェックするべき点は?
A:「やはり若い人より、ある程度お年を召した人のほうが似合うような気がします。若い人がダブルだと、なんだか“着られている”感がありますね(笑)。仕立て屋にとっては難しい服で、気を付けるべき点はフロントの線がまっすぐ下りているかどうか、です。ジャケットを作る際は、フロントとバックのバランスが重要で、姿勢のいい人は前を長く、猫背の人では後ろを長くしなければならないのですが、ダブルはその違いがモロに出るのです」

本記事は2019年1月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 26

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