Tuesday, July 2nd, 2019

今、最も注目したいテーラー、
“SARTORIA CICCIO”に聞いた
100%失敗しないオーダーの心得Q&A

仕立てについて熱く語る上木氏。

100%失敗しないオーダーの心得Q&A 仕立て編
より上級者を目指すために

Q1:上着は総裏か背抜きか、どうやって決める?
A:「夏は背抜き、秋冬は総裏というのが基本ですが、生地によって変えたりします。例えば、高いスーパーなど、生地が弱そうなものは総裏にしたほうがいい。長持ちしますし、シワにもなりにくい。タクシーなどに乗るときに、いちいち上着は脱ぎませんよね。そういうときに総裏はいいのです。逆にナポリでは、冬物でも半裏にしたりします。これは“スフォデラータ”といって、私の親方はよくやっていました。まあ職人の遊びですね。イタリア風だと思われていますが、親方は『昔のイギリスのテーラーの仕事で見た』と言っていました。まったく裏地を付けない“センツァ・フォーデラ”もあります」

Q2:ナポリの服は、マニカ・カミーチャかノーマルか、どちらがいい?
A:「マニカ・カミーチャにすると、上腕の筋肉を布で包み込めるため、肩幅を小さく作れます。ですから全体的な印象を小さくしたいときに、マニカ・カミーチャは有効です。ウチでは何年かに1回あるかないかのリクエストで、基本的には普通の袖付けです。品格があるのは、ノーマルのほうでしょう」

Q3:サスペンダー、ベルト、サイド・アジャスター、何を選ぶべきか?
A:「実は私は100% ベルト派なのです。スーツのときでも、ベルトは必ずします。アクセサリーをほとんど着けないので、ベルトをアクセントにしているのです。ウチではベルト派50%、ベルトレス派50%、さらにベルトレスの中ではアジャスター派が多数です。サスペンダーは少ないですね。パンツのフィッティングがぴったりめが好きな方はアジャスター、ウエストがキツいのが嫌いな方はサスペンダーがいいでしょう。サスペンダーをせず、アジャスターもつけず、サイドのボタンだけで調節するタイプも多いです」

Q4:ダブルはどんな人が似合う? チェックするべき点は?
A:「やはり若い人より、ある程度お年を召した人のほうが似合うような気がします。若い人がダブルだと、なんだか“着られている”感がありますね(笑)。仕立て屋にとっては難しい服で、気を付けるべき点はフロントの線がまっすぐ下りているかどうか、です。ジャケットを作る際は、フロントとバックのバランスが重要で、姿勢のいい人は前を長く、猫背の人では後ろを長くしなければならないのですが、ダブルはその違いがモロに出るのです」

Q5:ラペルやゴージラインにトレンドはあるのか?
A:「トレンドはありますね。もちろんわれわれが作っている服はクラシックで、トレンドそのものを追ったりはしませんが、影響は受けると思います。例えば着丈についていえば、最近は短めなものが多い。お客様から『なんだか長くない?』と言われると、ついついリクエストをお受けしてしまいます。テーラーとはいえ、洋服屋ですからね。ファッションには敏感でいたいと思っています。ラペルについていえば、『細くして』というリクエストはなくなりましたね。逆に『広くして』という方が増えています。ゴージラインは、ウチはもともと低めなので『高くして』という方はいらっしゃらないですね。当店のスタイルを認めていただいているのだと思います」

Q6:フィッティングにおける昨今の流れは?緩めか、タイトめか?
A:「以前は、とにかく『タイトに』と仰る方が多かったものです。トラウザーズなどは、“これでもか”というくらい攻めるのが流行っていた。しかし、今は本来あるべきところに戻っている感じです。パンツもツープリーツがほぼ100%となりました。やはりプリーツを入れて、尻回りをゆったりとさせ、裾を絞ったほうがシルエットがキレイです。ノープリーツが好きだった方でも、一回ツープリーツで作ると『そのままで』と仰る方が大半です」

Q7:トラウザーズの裾幅は、どのくらいか?
A:「48くらいのサイズで、19.5cm です。ターンナップは4.5cm。背の高い方だと、5cm もありでしょう」

Q8:チッチオとして作りたい服は?
A:「盛夏のスーツに挑戦しています。やはりテーラーとしては、夏場にこれ以上ジャケットを着ない人が増えるのはマズい(笑)。これが当たり前にしないようにしないと。カノニコなどの超薄手の生地を使って、裏地なしのスーツを研究しています」

Q9:いま、Rakish Menはどんな服を作っている?
A:「お洒落な方ほど、ぱっと見で仕立て服だとわかるようなものではなく、玄人でないとわからないようなモノを好まれます。色は紺、グレイ、たまに茶。たまにストライプ。無地のまま、素材に深く入り込んでいく方が多いですね。当店のお客様は、全体的に地味な方が多いのです。しかしよく見ると、『なんか、いい感じですよね』と」

Q10:どんなコーディネイトをしているのか?
A:「スーツが地味ですから、シャツも白またはサックス系が多いです。柄だったら、ストライプかマイクロチェックなど。ネクタイは小紋かストライプでしょうか? 色は緑とか茶とか…… 私が緑好きなんで(笑)。これも三つ折りや七つ折りなど、色柄より構造にこだわります。シャツはレスレストンのものを置いています。ここのシャツは、私の作る上着と相性がいい。私の服のラペルはぺたっと寝ているところが特徴なのですが、最近のシャツは前襟腰が高めなのに対して、ここのシャツは前襟腰が低く、襟がラペル下に入り込むような感じなのです」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 26
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