Friday, December 6th, 2019

POP ART
俳優マイケル・ヌーリー、アンダーソン&シェパードを試す

アンダーソン&シェパードを経験

 そんな世界最高の職人たちを知ったことは、私の記憶のアルバムにしっかりと収まっている。ここで頭に浮かぶのが、この道のりにおいて最近体験した画期的な瞬間である。ビスポーク・テーラーリング界の筋金入りのテーラー、もはや伝説的存在のひとつに数えられるアンダーソン&シェパードでスーツを仕立ててもらったのだ。
 THE RAKE のウェイ・コー氏とトム・チェンバリン氏のおかげで、私は親切で素敵な取締役、アンダ・ローランド氏と仕事仲間の皆さんにもてなしていただいた。この場所は堅苦しさとは無縁で、伝統、刺激、楽しさに満ちている。
 私たちは美しい生地の選定に取りかかり、9分の8オンスのブルーのトロピカルウール(H.レッサー製)に決めた。私がこの生地を気に入った理由は通気性だ。ロサンゼルスに住んでいる私にとって、美しい形状を保ちつつ熱を放出してくれる生地は何より魅力的なのだ。
 今度は鏡もエアコンもある部屋で、計3回のフィッティングの第1回目が行われた。私たちがこれで行こうと決めたデザインはスリーピーススーツだ。ジャケットとウエストコートのカットはレス・ヘインズ氏が担当した。彼は優雅な手際で生地を3次元の形状に仕立てると、ジャケットのピークドラペルやショールカラー付きのダブルブレステッド・ウエストコートといったお家芸的なデザインを完璧に仕上げた。
 トラウザーズをカットしたのは、私がリバースプリーツを好むことを考慮してくれたジョン・マローン氏である。肩、胸、腕、ウエスト、アウトシーム、インシームと、採寸はすべて以前と同様に行われた。
 ここで飛び出したのが、かの有名な「お客様はどちら側の装いをされますか?」という質問だ。私は今回は「両方ですね!キルトなんていかがです?」と答えてみせた。そして皆で大笑いした。
 こうして私は、アンダーソン&シェパードを誇らしい気持ちで自分のコレクションに加えた。秘密の隠しラベルには、私の、つまり父の名前が“殿”付きで入っている。ありがとう、おやじ!

THE RAKE JAPAN EDITION issue 29
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