NEO TRADITIONAL GAZATTEER RAKISH TOKYO GUIDE vol.8

ORTUS オルタス
革と対話し、革の魅力を最大限に引き出す手縫い鞄職人

December 2019

鞄の世界にも、世界に誇れる素晴らしい職人がいる。
そのひとりが、41歳、オルタスの小松直幸氏だ。
photography yasutoshi sawano text yuko fujita

左:ブライドルレザーのアタッシェケース「MEDLAR」は¥700,000。革、サイズ、内装の仕様は自由にリクエスト可。右:縦形の独特のフォルムが美しく、イタリアのオイルドレザーとブライドルレザーのコンビによる「MIMOSA」は¥350,000。すべての錠前はメッキを落として溶接し直すなど、必ず改良を加えている。

 小松直幸氏は藤井幸弘氏のもとで2000年から8年間修業し、2008年に靴職人の高野圭太郎氏とともに「クレマチス 銀座」をオープン。2012年に自身の鞄工房「オルタス」をオープンし、今や名実ともニッポンを代表する鞄職人となった。セレクトショップのアーモリーの香港店とNY店で年1回オーダー受注会を開いており、今や海外のお客さんが3割を占めるまでになっている。

 手縫い鞄の素晴らしさは、縫いの美しさだけではない。鞄を作るうえで最も大切なのは、それよりも革の質感をどう最大限に引き出せるか、そのうえで耐久性をどう出していくかにある。同じデザインの鞄でも革が異なれば革の漉き加減が異なるので、裁断と裏の芯を貼るところに、彼の経験から生まれた勘と技術が問われるのだ。

 そして、手縫いがそこに味わい深さをもたらしてくれる。同店ではサンプルをもとに革やディテールを変えていくのが一般的で、もちろんフルビスポークも可能だ。その場合は聞き慣れないが、仮縫いを経て完成となる。

ORTUS
TEL.03-5579-9210
営業時間:11:00~18:30
定休日:月曜
www.ortus-bag.com

本記事は2017年5月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 16

Contents

<本連載の過去記事は以下より>

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