April 2020

紳士が愛する名作服地 02

HARDY MINNIS “2PLY FRESCO”
ハーディー・ミニス“2プライ フレスコ”

text & photography(italy) yuko fujita
photography jun udagawa, tatsuya ozawa styling akihiro shikata

ルビナッチのスタイルはほかのナポリのそれとは異なり、英国的な要素をたっぷり備える。特にマリアーノ・ルビナッチ氏のスタイルはクラシックで適量のゆとりを大切にしている。ダブルの襟の角度はイタリア的ながら低い位置にあり、そのバランスがなんともいえずかっこいい。生地はもちろん、ハーディー・ミニスの2プライフレスコ。国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥275,000(オーダー価格)Rubinacci /ⒶⒷ ニット property of stylist

ハーディー・ミニスの名作服地“2プライ フレスコ”で仕立てる
RUBINACCI【ルビナッチ】 創業は1806年という、サヴィル・ロウ最古のテーラー、ヘンリー・プールの伝統的なカットを踏襲しているのがこちらの「メイフェア」。特にダブルブレステッドは、ラペル幅や剣先の角度、デザインも仕立てもディテールの配置もすべてが美しいハーモニーを奏でていて、サヴィル・ロウのスーツを象徴するお手本的な存在のモデルといっていい。

 かつて私はTHE RAKEのイタリア支局員としてルビナッチ家のナポリのアパートに住んでいた関係で、マリアーノ・ルビナッチ氏のご自宅に伺ってワードローブを拝見させてもらったり、ルビナッチの本店に遊びに行くたびにご本人からたくさんのことを教えてもらっていた。

 本店最奥の生地棚や地下の巨大な金庫に保管してある趣味のよい生地を引っ張り出しては、あれこれ貴重な話を聞かせてくれたが、話にあがるのはいつもアンダーステートメントな生地で、嗜好が徹底しているマリアーノのエレガンスに、私は会うたびにどんどん魅了されていった。

 ちなみに氏が大変贔屓にしている生地マーチャントのひとつが、英ハダースフィールドの名門ハーディー・ミニスだ。1932年にルビナッチが創業して間もない頃から扱い続けているストーリーも手伝って、マリアーノは英国王室御用達でもある由緒正しい同ブランドに、毎シーズン生地を別注している。

 ちなみに春夏は今日的でバランスの大変よい2プライのフレスコに取り組んでいて、その生地選びの趣味のよさには惚れ惚れする。グレイの無地でも杢糸の表情が豊かだったりと、彼の審美眼は絶大だ。その生地で仕立てたルビナッチの服はシンプルな装いでも美しく、着る本人を大いに引き立ててくれる。

1943年生まれで、ルビナッチの2代目当主を務めているマリアーノ・ルビナッチ氏は、今日のイタリアを代表するウェルドレッサー。

お問い合わせ先
Ⓐ伊勢丹新宿店 TEL. 03-3352-1111(大代表) 
Ⓑ日本橋三越本店 TEL. 03-3241-3311(大代表)

本記事は2020年1月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 32

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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

SMITH WOOLLENS “ABACUS” スミス・ウールンズ “アバカス”

DORMEUIL “15.7” ドーメル“15.7”(フィフティーン ポイント セブン)