April 2020

紳士が愛する名作服地 02

HARDY MINNIS “2PLY FRESCO”
ハーディー・ミニス“2プライ フレスコ”

text & photography(italy) yuko fujita
photography jun udagawa, tatsuya ozawa styling akihiro shikata

山浦 春夏だとスーツを着る人は少なくなってきていますが、ドレス好きの人たちは夏でもしっかり着られる服を探していて、そういった方たちにこの2プライ フレスコはすごく提案しがいがあると思うんです。このウェイト(280〜310g/m)でしたら春と秋も使えますしね。

 春夏シーズン用の生地として、温暖化が著しい今日の気候の中ではリアリティがありますし、その一方で山浦が言うように真夏に寄りすぎてないので、わりと長い期間着られるのがいいですよね。それと低番手のハイツイストならではの粗野な雰囲気が今の気分に合っていると思うんです。私がハーディー・ミニスの2プライフレスコでいいなと思うのは、イタリアのハイツイストだと色がきれいすぎて、例えばグレンチェックを比べても、イタリアのミルの品質がよすぎる原毛を使っているそれだと、表面がすっきりしすぎて逆の意味で表情がなくなってしまうんですよね。ハーディー・ミニスのそれは、イタリアのとは対照的に古着を着ているような感じを覚えるんです。

山浦 でも、その感じが今の気分に合っていると思うんです。3プライだとウェイトがあるのに加えて、タッチもドライすぎる感じになりますし、日本人はクリーンなのが好きですので、2プライ フレスコくらいのドライ感がちょうどいい塩梅なのかなと思います。面白いことに、今までソフトで艶やかな生地を好んでいたお客様にも2プライ フレスコのドライ感は受け入れられるようになってきていて、ニーズは着実に変化しているのと、英国生地が求められてきているなというのはすごく実感しています。その中でオススメしたいのは、モノトーン系のそれです。あえてのグレイ無地もいいですし、ハウンズトゥースやグレンチェックなら、フレスコ独特の素材感とのコンビネーションでより面白くなると思います。

THE RAKE 確かに英国を象徴する柄をモノトーンで着るのは新鮮ですね!

 2プライ フレスコのハウンズトゥースとグレンチェックは、ニューヨークでもパリでもロンドンでも、世界のどの都市を歩いていても服として洗練されて見え、すっと街の雰囲気に溶け込んでいくと思うんです。今、このミニマルな感じがクールで新鮮に感じるんですよね。流行り廃りのないクラシックな柄ですし、入っていきやすいと思いますので、ぜひトライしてみてください。

HENRY POOLE 【ヘンリー・プール】ヘンリー・プールの伝統的スタイルを
踏襲した代表モデル「メイフェア」

こちらで紹介しているダブルブレステッドと同じ、ヘンリー・プールの伝統的なスタイルを踏襲したモデル「メイフェア」のシングルブレステッド版で、ハーディー・ミニスのグレンチェックによる2プライ フレスコで仕立てた一着。色数を絞り込んだスタイリングでミニマルに仕上げた装いは、ヘンリー・プールの格調高く美しいカットをより引き立たせる。強撚による張りのある特有の素材感が抑揚豊かなイングリッシュドレープをパーフェクトに表現してくれる。クラシックでありながらも非常に都会的で洗練された印象だ。国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。スーツ ¥270,000(オーダー価格)、タイ¥18,000 both by Henry Poole /Ⓐ シャツ チーフ property of stylist

WILLIAM SKINNER【ウィリアム スキナー】5代目ウィリアムの名を冠した
モダンなサヴィル・ロウカット

1865年に創業し、サヴィル・ロウ10番に構えるディージ&スキナーは、エリザベス女王の護衛兵や王立騎馬砲兵隊などの服を仕立てている英国王室御用達テーラー。5代目ウィリアムの名を冠したこちらは、やや長めのトリムラインで、ビルドアップした非常に構築的な肩回りが特徴で、往年のサヴィル・ロウのモダンな薫りを残している。ハーディー・ミニスのハウンズトゥースのフレスコのドライなタッチとミニマルな表情が、スーツのモダン性をより引き立たせている。国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥312,000 (オーダー価格)William Skinner /ⒶⒷ シャツ¥60,000〜(オーダー価格) Antica Camiceria Lombardi /Ⓑ タイ¥18,000 Seven Fold /Ⓐ チーフ¥16,000 Henry Poole /Ⓑ

お問い合わせ先
Ⓐ伊勢丹新宿店 TEL. 03-3352-1111(大代表) 
Ⓑ日本橋三越本店 TEL. 03-3241-3311(大代表)

本記事は2020年1月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 32

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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

SMITH WOOLLENS “ABACUS” スミス・ウールンズ “アバカス”

DORMEUIL “15.7” ドーメル“15.7”(フィフティーン ポイント セブン)