DRAKE'S

サヴィル・ロウのゲームチェンジャー

April 2020

text yoshimi hasegawa photography james holborow

ウインドウディスプレイは週に一度変わるので要チェックだ。今期限定マルチカラーのヘビーウェイトスエード・ショアジャケット(左上)。リラックス感が重要なドレイクスのスタイルに欠かせないコーデュロイのスーツ(中下)。今期はダークレッドも登場。定番のアンシェントマダーのシルクタイに、抜け感のあるカラーシャツやレッドストライプでリラックスしたスーツスタイルなど、コーディネイトのお手本がいっぱいだ。

 確かに、マイケルのトレードマークであるオリーブカラーのコーデュロイ・スーツのような、オーセンティックなブリティッシュテイストを強調しつつ、リラックスしたクラシックスタイルは幅広い年齢層から絶大な人気を得ている。

 ラルフ・ローレンがアイビーをベースに独自のアメリカン・トラディショナルスタイルを確立したように、ドレイクスはオックスフォードといった名門校に由来する本家英国のメンズスタイルに、強みであるオリジナルのカラーやデザイン、現代のポップでファンキーなテイストをプラス。セーターを無造作にジャケットの上から巻くといったリラックスしたスタイルに、肉厚のツイードやカシミアのニットと厳選された素材を使うことで、マスブランドと一線を画すことに成功した。

 奇遇なことに、考えていたことは同じだったようで、今回のインタビューの最後にマイケルはこう語っている。

「今はアンダーソン&シェパードもサヴィル・ロウにないように、サヴィル・ロウが以前と違うと言うことは簡単だ。一方で、ここは未だに偉大な歴史とブランド性がある。ただブランディング目的でサヴィル・ロウに店をオープンしたことにはしたくない。ここでメンズウェアにとって何か新しいもの、新鮮なものをやりたいんだ。ラルフ・ローレン氏でさえ最初から今の展開を予測できなかったと思う。だが、彼が始めた時とは全く違うビジネスになっている。今は10年が経ち、新旧のバランスを保ちながら、ずっと使い続けていくことのできるものづくり、ドレイクスの新たな20年をここで築いていきたいと思っている」

DRAKE’Sドレイクス
9 Savile Row,London W1S 3PF
TEL.+44 020 7734 2367
www.drakes.com

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 32
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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

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【ヘンリー・プール】伝統に勝てるものはない

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