BIG LIGHT
俳優:スタンリー・トゥッチ
ハリウッドの寵愛を受ける才人
July 2019
シングルブレステッド・スリーピーススーツ Thom Sweeny
ネクタイ、ドレスシャツ ともにEmma Willis
ポケットチーフ Budd Shirtmakers
時計「ロイヤル オーク・パーペチュアルカレンダー」¥9,500,000 Audemars Piguet
カフリンクス property of The Rake
眼鏡 本人私物
この映画は多くの高い評価を受けた。サンダンス映画祭の審査員大賞をはじめ、自主制作映画の名だたる賞にノミネートされ、ニューヨーク映画批評家協会賞やボストン映画批評家協会賞、インディペンデント・スピリット賞に輝いた。食が持つ文化的なインパクトと、食にまつわる喜びや悲しみ、狂気、物語を浮き彫りにする最高にパーフェクトな作品といえよう。オムレツを作る場面は静寂に包まれているが、観ていると胸が痛む。善人が悪人に負けてしまうからだ。ロマンチックな正義には反骨心があり、慎重かつ巧みに事を進めればなんとかなる、というお膳立てにしなかった脚本には勇気がある。多くの評論家は、メッセージ性の高い本作を、映画製作者がお手本にすべき作品として挙げている。
料理本にあふれる彼の人生観 先述の『ザ・トゥッチ・テーブル』も実に素晴らしい。彼のセンスやカリスマ性がどのページにも感じられる。家庭、家族、そしてチャリティの大切さを伝えるハートウォーミングな一冊は、単なる料理本ではなく、彼がバランスの取れた人生を送っている証でもある。
妻はエミリー・ブラントの姉フェリシティ。夫妻はロンドン南西部のバーンズで4人の子供とともに暮らしている。末っ子のマッテオはフェリシティとの間にできた初めての子供だ。他の3人は最初の結婚でもうけた。
メリル・ストリープがゴッサム・アワードの功労賞を彼に授与する際に話したように、トゥッチは乳がんで闘病していた最初の妻ケイトを2009年4月に失い、悲しみに暮れた。この料理本にはケイトの思い出も詰まっているのだ。
本記事は2016年1月23日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 08