ANDERSON & SHEPPARD

最高峰のビスポークの真価

April 2020

text yoshimi hasegawa photography james holborow

ヘッドトラウザーズカッターのジョー・マローン氏は1975年入社。45年のキャリアは一貫してアンダーソン&シェパードのトラウザーズつくりに捧げられてきた。

 その象徴的な例がアンダーソン&シェパードだろう。創業1906年、サヴィル・ロウを代表するこのテーラーは1913年からサヴィル・ロウにあったが、2005年に移転し、今は道を一本隔てたオールド・バーリントン・ストリートに店がある。

 だが、この店がサヴィル・ロウにはなくとも、一歩足を踏み入れれば、このテーラーリングハウスの100年を越す圧倒的な伝統と、そこに貫かれた徹底した美学を誰もが感じるに違いない。

 同店で30年を超える経験を持つヘッドカッターのダニー・ホール氏は、ハウススタイルについてこう語っている。

「ハウススタイルは私が始めた1986年からほぼ変わっていない。柔らかなショルダーライン、胸元のパッディングは(サヴィル・ロウの中では)控えめで、高い位置にアームホールがある。ラペルは顧客の身長と顔のバランス、好みによって変わるが、構造そのものは変わっていません。むしろ、私が学んだアンダーソン&シェパードのオリジナルのスタイルを変えないように心がけています」

ショールカラー、ベルベットのスモーキングジャケットには究極のラグジュアリーがある。

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 32
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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

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