A SINGULAR WOMAN

唯一無二のトップ女優 ジュリアン・ムーア

July 2019

text tom chamberlin
photography richard phibbs
fashion direction grace gilfeather
issue10

シャツ Emma Willis
トラウザーズ Saint Laurent
バングル 「パルム・ヴェルテ・コレクション」 18Kフェアマインド認証YG Chopard
リング property of Julianne Moore

 特にスコットランド系の母は精神医学ソーシャルワーカーだったため、精神分析により主観をコントロールできる人で、ジュリアンの人生に多大な影響を与えた。子供の目から見ても有能でポジティブな存在だったという。

「両親とも行動的で素晴らしい人。何をするにも目的や自分の個性を大切にしていました。ふたりはいろんな経験を進んで受け入れていたように感じます。転勤生活は変化に富んでいましたが、子供の身で順応するのは大変でした。“ああ、またか”と思ったものです。でも、変わらぬものは何もないということを知ると、今やっていることが気に入らないならば変えられる、と考えるようになりました」

 教育も重要な役割を果たした。彼女は自他ともに認める“勉強好きの子”で、両親は医学か法律の道に進むと思っていたらしい。彼女を芸術の道に導き、言葉の多彩な運用力を培ったのは読書だった。

「本は生涯の友。昔から“言葉”が大好きなんです。演技がしたくて俳優になったわけではありません。演じることも、人前で話すことも、歌や踊りも苦手。でも読むことは大好きなので、向いていると思いました。ストーリーに入り込むのは私にとって身近なことで、芸術は最も共鳴できることでした。読者と同じように、観客はストーリーに感情移入するもの。だからこそ、自分の夢を見ているような気持ちにしてくれる映画には力があるし、映画というのは夢を見せなければならないものだと思います」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 27
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