WILL&TESTAMENT
稀代の怪優ウィレム・デフォー
April 2019
photography michael schwartz
fashion direction jo grzeszczuk
Special thanks to The Carlyle Hotel, New York
「僕が演じるのは、戦士であり、政治家のような立場でもあるバルコ。ほんの少しだけネタバレすると、アクアマンの先生のような存在だよ。僕は海底アトランティス帝国出身の海底人で、アクアマンは海底人と人間の混血さ。お話しできるのは、ここまでだよ(笑)」
「#MeToo」運動を受けて、現在のハリウッドは立ち直りを図るとともに、影の側面があることを認めつつある。そんな“脱理想化”を進めるハリウッドに、以前から変わらずに尊敬できるデフォーのような優れたリーダーがいることは幸運だ。淀んだ空気の中で、ウィレム・デフォーの良識ある振る舞いや、演技に一心に取り組む姿勢は、映画産業に成長をもたらす力強い息吹となり、新世代の俳優たちへの指針となる。デフォーが生涯功労賞を受賞した昨年のベルリン国際映画祭で、ヴィム・ヴェンダース監督はこう述べた。
「すべての俳優は個性的ですが、ウィレム・デフォーはそれ以上です。皆が比類のない存在ですが、彼はさらにその上をいく。“独特”ですが、その言葉すらはるかに超えています。世にふたりといない存在……つまり彼は唯一無二の人であり、俳優であり、人間なのです」
精神を患い苦しんでもなお筆を握り続けた画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。周囲と真っ当な人間関係を築けずに衝撃的な事件を起こした、彼のあまりにも不器用で孤独な人生を、ウィレム・デフォーが圧巻の演技力で挑んだ珠玉の感動作。監督に「彼しか考えられなかった」と言わしめたデフォーは、第75回ヴェネチア国際映画祭男優賞を受賞。第76 回ゴールデングローブ賞で主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートされた。
永遠の門 ゴッホの見た未来監督:ジュリアン・シュナーベル
出演:ウィレム・デフォー、オスカー・アイザック、マッツ・ミケルセン、マチュー・アマルリックほか
配給:ギャガ、松竹 2019年全国ロードショー
©Walk Home Productions LLC 2018
本記事は2019年1月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 26