WILL&TESTAMENT

稀代の怪優ウィレム・デフォー

April 2019

text tom chamberlin
photography michael schwartz
fashion direction jo grzeszczuk
Special thanks to The Carlyle Hotel, New York
issue10

コート、トラウザーズ ともに参考商品both by Ralph Lauren Purple Label
ニット 参考商品 Gieves & Hawkes
ソックス¥4,300 Pantherella
シューズ 参考商品 Dolce&Gabbana

 2000年代前半には他にも多数の出演作がある。声優として参加した『ファインディング・ニモ』(2003年)や、マーティン・スコセッシ監督の『アビエイター』(2004年)、初めてウェス・アンダーソン監督とタッグを組んだ『ライフ・アクアティック』(2004年)もこの時期の作品だ。アンダーソン監督作では他にも『ファンタスティック Mr.FOX』(2009年)で声優として出演し、『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014年)では無口な私立探偵役を演じた。デフォーは監督との関係について、こんな風に話す。

「自分は(ウェス・アンダーソン監督の)一座の一員だと思っているけれど、実は彼の作品で特に大きな役をやったことはない。だから重要性が低いというわけではないけれど。ウェスとも、ポール・シュレイダーとも、アベル・フェラーラともそういう深い間柄だ。僕はひとつの劇団で、同じ監督と27年間一緒に仕事をした男だからね。人との関わりを求めているといっても、やはり基本的な部分で心の通じ合える人たちや、興味のある文化のそばに身を置くのが好きなんだ」

 こうした関係がいかにうまく機能するかを示す先例がある。トム・ハンクスとスティーヴン・スピルバーグ、サミュエル・L・ジャクソンとクエンティン・タランティーノ、ジョニー・デップとティム・バートンなどだ。彼らの場合、波長が合うおかげで両者のビジョンが実現するように感じられるが、デフォーの場合も同様だ。

「一緒に仕事をするのが好きな相手というのは、多くを語らなくても理解し合えるし、力を合わせることで両者の才能が大幅に強化される。重なる部分が多いほど、監督が何かに挑戦しようとしているときに僕も一緒に進みたいと思うんだ」

ハリウッドに必要とされる存在 2017年の『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』で3度目のアカデミー助演男優賞ノミネートを果たしたデフォーは、歩みを緩める気配はまったくない。2019年も出演作が目白押しだ。公開中の『アクアマン』は、DCコミックス原作によるアクション大作であり、おそらく最も期待されている作品だ。こうしたヒーローもの映画では得てしてそうだが、出演者たちは多くを語りたがらない。

「実は僕もまだ見ていないから楽しみだよ。技術的効果が多いから、ポストプロダクションにとても時間がかかるんだ。何しろ、水中にある創作世界が舞台になっているからね。役者は浮いたり回転したりする装置に乗って大変なんだ」

 キャラクターについてはこう語る。

本記事は2019年1月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 26

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