Wednesday, October 28th, 2020

The LAST TYCOON

最後の大君

text ed cripps

 中でも最大の苦境となったのは、コッポラ監督作の『コットンクラブ』(1984年)だ。興行成績は振るわず、批評家たちからは酷評されたが、エヴァンスにとってそれは些細な心配事だっただろう。同作に出資した演劇プロデューサーが、撮影中に不可解な状況で死亡し、エヴァンスが重要参考人となったからである。エヴァンスは起訴されずに済んだものの、外聞はよくなかった。

 その後も法律にかかわるトラブルが続いた。コカインに溺れていった彼は、ついに密売の罪に問われ、執行猶予付きの実刑判決を受けたのだ。司法取引の一環として、エヴァンスはドラッグ反対の公共広告を制作することに同意した。常に機を見るに敏であった彼は、ポール・ニューマン、ジョン・トラボルタ、モハメド・アリなどの著名な友人を引き入れて、豪華絢爛な広告を作り上げた。

華やかな女性遍歴と結婚歴 エヴァンスの女性に対する姿勢は、変化を求めるのに、ウブで、しかも超肉食系という複雑なものだった。彼は7人の女性と結婚・離婚を繰り返した。中でも5人目の妻・女優キャサリン・オクセンバーグとの結婚生活は、たった12日で終わった。後述の回顧録ではたびたび“オンナ”の話題があがっている。エヴァンスの家政婦は、毎朝ベッドに朝食を運んでいたが、その際は彼の隣にたまたま寝ている女性の名前を書いた紙を添えるのが常だった。また、シルヴェスター・スタローンによると、エヴァンスはミーティング中に「我々には共通点がある」と言って1枚の写真を見せてきた。そこに写っていたのは、スタローンの当時のガールフレンドの裸の姿だったという。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 36
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