November 2020

THE MAESTRO'S MASERATI

堺 正章氏 マセラティの魅力を語る

マセラティのヴィンテージカーに魅せられ、「ラ・フェスタ・ミッレミリア」をはじめとするクラシックカーラリーに愛車で参戦。
また日常的にもマセラティを駆る、稀代のマセラティスタ、堺 正章氏。
美しき邸宅にて、揺るぎないマセラティ愛についてお話をうかがった。
text maiko takeda photography & direction kaz ogawa

堺 正章 / Masaaki Sakai1946年、東京生まれ。言わずと知れた芸能界を代表するエンターテイナー。父は喜劇俳優、堺 駿二氏。6歳で映画デビューした後、俳優、歌手、司会、と多方面で活躍し続ける。現在は、日本テレビ系「世界一受けたい授業」、テレビ東京系「THEカラオケ★バトル」、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」にレギュラー出演中。カーレース、ゴルフ、射撃……と、多趣味多才としても知られる。

1948年式A6 GCSモノファロ シリーズ1は、マセラティ兄弟が設計した最後の車。経営難により、アドルフォ・オルシ氏が3兄弟より経営権を譲渡されたとき、図面が残されていてかろうじて製作が叶ったという、3台しか作られなかったうちの貴重な1台。

 グリーンと赤に彩られ、イタリアの薫りに満たされたガレージ。ここに2台のヴィンテージマセラティが鎮座する。赤は1948年式マセラティA6 GCSモノファロのシリーズ1。世界に3台しかない車である。ブルーは、1972年式マセラティ ミストラル。堺さんはこの2台でクラシックカーレースに出場する。

「マセラティがいいのは、高級なんだけれども、リアルで庶民的な部分もあって、みんなに乗れる可能性を感じさせてくれるところ。どうだ、すごいだろう、というようなブランドとしての威圧感はあんまりなくて、どこか奥ゆかしい。そういった、乗る人との関係性を多彩に構築できるような面白みを感じるところがいいですよね。創業者のマセラティ兄弟が、事業よりもスピードを優先したところにも共感します。売りたい、というより、自分たちの好きなものを作りたい、という気持ちのほうが強いから、戦前から車を作っていたけれど、その経営は紆余曲折あって、兄弟たちの経営は、最終的にはあまりうまくいかなかった。そんなところも愛おしく感じますよね」

 35年前にクアトロポルテ ロイヤルを初めて手に入れてから現在まで、車種を変えながらも途切れることなく、マセラティは堺さんのそばに寄り添う。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 36
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