Tuesday, October 20th, 2020

THE HOLY GRAIL OF PRECISION

精度への飽くなきロマン

機械式時計をファッション的に考えれば、「正確さ」は重要ではないかも知れない。
しかし今もなお、誠実に精度に向き合い、いにしえの機構を再現している孤高の時計ブランドがある。
text tetsuo shinoda
issue10

Chronomètre FB 2REクロノメーター FB 2RE
フランスの偉大な時計師フェルディナント・ベルトゥーが開発した高精度マリンクロノメーターの技術を継承した時計。ローマ数字のインデックスは当時の時計からインスピレーションを受けている。すらりと長い秒針は、精度に影響を与えないために、軽量なチタンで作られている。世界限定10本。手巻き、18KエシカルRGケース、44mm。¥26,740,000(予価)Chronométrie Ferdinand Berthoud(ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922)

 時計の本懐とは、“正確に時を告げる”ことである。そのため多くの時計師が、いかなる条件でも正確に動く時計を作るためにさまざまな素材や機構を開発してきた。そして20世紀中頃に圧倒的な高精度を誇るクオーツムーブメントが発明され、さらには電波時計やGPS電波時計によって誤差のない時計が作られるようになった。ハイテク技術による高精度化が実現した以上、もはや機械式時計に高い精度を求める必要はないかもしれない。

 そもそも現代の高級時計は、ステイタスアイテムであり、紳士が楽しむアクセサリーでもある。最も重視されるのは“ルックス”で、見えない機械の良し悪しではない。しかし今でも機械式時計は、精度追求をやめることはない。数百というパーツが寸分の誤差もなく動くということは、高品質の証でもある。そして時という概念を高度な機械で表現してきた時計文化をないがしろにはできないという気持ちがそこには残っているのだろう。

「クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー」も、時計文化の継承に力を入れている。この時計ブランドは、ショパールの共同社長であるカール-フリードリッヒ・ショイフレ氏が立ち上げたもので、18世紀にフランスで活躍した偉大な時計師フェルディナント・ベルトゥーの功績を今に伝えるために、彼が製作した時計機構を踏襲しながら、クラシカルで美しい時計を作っている。

issue10

光沢感の美しいダイヤルは、職人が手仕上げするグラン・フー・エナメル製。

本記事は2020年9月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 36

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