Sunday, November 1st, 2020

THE MAN WHO WOULD BE KING

俳優:レイフ・ファインズ
世界を救う英国紳士

国家に属さないスパイ組織を描く大ヒット映画シリーズ「キングスマン」。
その創設を明らかにする第3作『キングスマン:ファースト・エージェント』の主演俳優レイフ・ファインズは、
「悪に対抗する最大の武器は“紳士であること”」だと語る。
text shiho atsumi photography aflo

Ralph Fiennes / レイフ・ファインズ1962年、イギリス、サフォーク州イプスウィッチ生まれ。王立演劇学校で舞台俳優としてデビュー。『シンドラーのリスト』(1993年)、『イングリッシュ・ペイシェンント』(1996年)で世界的な知名度を獲得。『オネーギンの恋文』(1999年)では製作、『英雄の証明』(2011年)『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』(2018年)では監督も務めた。公開中の『オフィシャル・シークレット』のほか、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年4月2日公開予定)、『キングスマン:ファースト・エージェント』(2021年2月11日公開)が待機中。

 イギリスのカルチャーと「スパイもの」の関わりは深い。古くはシャーロック・ホームズの兄マイクロフトも諜報機関の人間だし、「007」の生みの親である作家イアン・フレミングはもとより、1950年代の“ケンブリッジ・ファイヴ(名門ケンブリッジ大学出身のエリートで、ソ連のスパイだった実在する5人)”をネタに、映画やドラマの原作となった『裏切りのサーカス』『ナイト・マネージャー』を書いた作家ジョン・ル・カレもまた、諜報機関MI6の出身だ。ハリウッドの「Aリスト」に入っている英国人俳優の多くはスパイ役を演じたことがあるに違いなく、その中でも人気と運とタイミングに恵まれた者だけが「007」シリーズへの出演権を勝ち取れる。

 王立演劇学校出身で実力は折り紙付き、ハリウッドでもイギリスでも大きな人気を獲得したレイフ・ファインズは、現在のイギリスでフランチャイズとして成立しているふたつのスパイものに出演することになった唯一の俳優かもしれない。ひとつは、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる「007」シリーズの上司「M」役。そしてもうひとつが、ロンドン、サヴィル・ロウのテーラーに拠点を置く、どこの国にも属さないスパイ組織を描いた「キングスマン」だ。彼が主演するシリーズ第3作『キングスマン:ファースト・エージェント』は、第一次世界大戦前夜の1914年のロンドンを舞台に、組織の始まりを描いた作品だ。自身も「40〜60年代のスパイもののファン」だというファインズはこう語る。

「オファーをもらってから、見ていなかったこれまでの2作を早速見たんだ。とても楽しんだよ。娯楽性が高いし、これは楽しくなりそうだなと思った。そして“(監督の)マシュー・ヴォーンはこの前日譚をどう描くつもりなのだろうか”と考えて、非常に興味を掻き立てられた。マシューにはいくつか質問をしたよ。どんなトーンになるのか、第一次世界大戦の悲劇、家庭内の悲劇を、シリーズの豪華さとどう組み合わせるのか。正直言えば、少しナーバスにもなった。戦争における殺戮、惨禍、そして多くの命を失わせた政治家や軍人の愚かさ、“恥を知る人間たち”が戦争へとミスリードされたという要素を、彼はどう扱うのだろう?―そんな風に考えてね」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 36
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