Thursday, October 3rd, 2019

THE HONORARY BRIT

英国紳士なハリウッド監督

photography jamie ferguson text & creative direction tom chamberlin
Special thanks to Mark’s Club
issue10

赤いコートはアレキサンダー・マックイーンのもので、シャツはAnto、タイはトム フォード。トラウザーズはポロ ラルフ ローレン。シューズはジョージ クレバリー。ステッキはジェームズ・スミス・アンド・サンズ。ラペルピンはアンティーク市で見つけたもの。

 彼の個人的なスタイルが自身の作品に影響を及ぼしたのは、実はつい最近のことだ。『シンプル・フェイバー』(2018年)の撮影に向けた話し合いで、ポールは女優ブレイク・ライヴリーに対し、彼女が演じるやり手のPRディレクターはどんな装いをしていると思うかと尋ねた。するとライヴリーは、「アイコニックな着こなしね。ポール、まさにあなたのような装いをしていてほしいのよ」と答えたのだ。そんなわけで彼女の衣装はメンズライクなスーツスタイルが中心となり、ポールの私物のステッキも活躍している。監督のファッションに大きな刺激を受けたライヴリーは、プロモーションでもスーツスタイルばかりとなり、ラルフ ローレンのヴィンテージスーツまで着用するまでになった。

女性を輝かせる監督としての手腕 ポールは最高の映画を一貫して生み出すクリエイターであり、同業者を啓発すると同時に人々を喜ばせる存在だ。その名声をいっそう輝かせているのは、彼こそが現役監督の中で最も女性を大切にしているという世評である。『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(2011年)、『デンジャラス・バディ』(2013年)、そしてかの名作のリブート『ゴーストバスターズ』(2016年)と、いずれも女性を中心に描き、女性は“小道具である”とか“面白いことはできない”といった迷信を打ち破ってきた。

「ケーリー・グラントやロザリンド・ラッセルが活躍していた1930~40年代では、女性は男性と対等だった。ところがやがて女性たちは性的対象としてぞんざいに描かれるようになった。僕はハリウッドにやって来てから女優や女性コメディアンと友人になって、彼女たちがいかに面白いかを知っていたから、スクリーンに登場する彼女たちがつまらない役を任されていく状況がいつも気になっていた。これは変える努力が必要だと」

issue10

ポロ ラルフ ローレンの3ピーススーツ。タイはトム フォード。チーフはJ.Crewとのコラボレーションしたコレクションのもの。

本記事は2019年5月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 28

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