July 2021

The 10 MOST Rakish JAPANESE SHOMAKERS

イーサン・ニュートン×福田洋平 座談会

世界の憧れがニッポンのビスポークシューズになろうとは、10年前、いったい誰が予想しただろう?
ニッポンのビスポークシューズが今、世界の中心にある。
text yuko fujita
photography jun udagawa

今、世界はニッポンの
ビスポークシューズに夢中だ

(左)イーサン・ニュートン1980年、シドニー生まれ。2016年にオープンした原宿のセレクトショップのブライスランズの共同設立者。ニッポンのビスポークシューズは鈴木幸次氏が手がけるスピーゴラを長く愛用。

(右)福田洋平1980年、富山県生まれ。19歳で渡英し長らく修業を積んだのち、2008年に帰国して「ヨウヘイ フクダ」を始動。顧客の半分以上は外国人で、最近は特にフランス人とアメリカ人からの注文が多いという。日本で最も成功し、知名度のあるビスポーク靴職人。

さまざまな国のテイストの
ビスポークが揃う日本
THE RAKE 今、ニッポンのビスポークシューズに対する世界からの注目度の高さは凄まじいものがあって、テーラーも盛り上がっていますが、靴に関しては誇張ではなく世界一の盛り上がりを見せているのではないかなと思うんです。イギリス、フランス、イタリアで修業した人や、もちろん日本で学んだ人もいて、さまざまなスタイルの靴職人がいます。

イーサン そうですね、間違いなく世界一でしょうね。日本のビスポークが今、いちばん最高の時期を迎えているのは疑いようのない事実です。もし、最高のイタリア靴を作りたければ、イタリア人ではなくフィレンツェに住んでいる日本人もしくはコウジ スズキで作ってもらうのがいちばん、というのが私の考えなくらいですから(笑)。クラシックなブリティッシュスタイルが好きだったらヨウヘイ フクダでしょうし、モダントラディショナルな靴が好きだったら、セイジ・マッカーシーがいます。ちなみにコウジには4足オーダーしましたけど、彼はいつも私のスタイルと彼のスタイルを上手くミックスして新しい提案をしてくれます。

福田 ビスポークの靴職人の仕事って、前まではその人の足に合わせた靴を作るのが主だったのが、今はその人のライフスタイルに合わせたものや、好みに合わせたものを作ることが求められるようになって、仕事の内容が変わってきましたよね。お客様に作ってと言われたものをそのまま何でも作っていたら、何でも屋になってしまうので、そのへんのバランスを取るのは難しいところですけど、お互いの関係を上手く築けていれば、そういうリクエストの中で一緒に作り上げていくのはとても楽しい作業です。

イーサン ヨーロッパでは、イギリスならイギリス、イタリアならイタリア、フランスならフランスと、それぞれの国に歴史あるスタイルが確立されていて、例えばイギリスでイタリアの靴は作れないので必然的にその国のスタイルの靴が作られるわけですけど、日本にはイギリス、フランス、イタリアのスタイルを作る職人もいれば、いくつかのテイストがミックスした靴を作る人もいます。そういう国は世界を見渡しても日本だけなので、そこがとても面白いところですよね。

福田氏が履いていた、自身で仕立てたヨウヘイ フクダのビスポーク。どこから眺めても本当に美しいプロポ―ションだ。靴が主役でなく、服に溶けこんでくれるのも、氏の靴の魅力である。

本記事は2018年9月22日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 24

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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

世界を虜にするニッポンの 美しい靴ベスト10

ウェルドレッサーたちもオーダーしているニッポンのビスポーク靴

スピーゴラ:世界一美しいクロコダイルのビスポークシューズ

ヨウヘイ フクダ:ミリ単位の美意識が生む完璧なプロポーション

マーキス シューメーカー:1930~40年代の英国ビスポークの靴作りを追求

イル クアドリフォリオ:個性革を自在に操る、革の魔術師

アン:ブロックから削り出すラストメイキングの奇才

セイジ・マッカーシー:日米ハーフの元エリートによる超絶クールなビスポーク靴

ユウキ・シラハマ ボティエ:日・伊・仏が融け合った現代的なビスポーク

タイ・シューメーカー:スラッとしていてグラマラス。女性のような色気のビスポーク

コルノ ブルゥ:完成されたベースラストから生まれる安心のビスポーク

コウジ エンドウ ボティエ:フランス仕込みのノルヴェジェーゼで世界を魅了