Sunday, July 18th, 2021

The 10 MOST Rakish JAPANESE SHOMAKERS: KOJI ENDO BOTTIER

コウジ エンドウ ボティエ:フランス仕込みのノルヴェジェーゼで世界を魅了

ビスポークでカジュアルシューズを作るのはワンランク上の愉悦だ。
それがフランス仕込みのノルヴェジェーゼの靴だったら、なおさらのことである。
text yuko fujita
photography jun udagawa

黒ブーツの革はオットセイで、履き口はそれのスエード。2段のノルヴェジェーゼの麻糸は14本撚りで、この太さで縫うのがパリ的。¥320,000、茶の象革ブーツは¥310,000でこちらも麻糸は14本撚り。短靴のビスポークは¥250,000~(2足目は¥230,000~、ノルヴェジェーゼ製法はプラス¥40,000)、シューツリー¥20,000~。納期は約10カ月~。

 墨田区本所に工房を移し、本格的に活動を再開したのは今年8月のお盆明け。つい最近のことだ。新しい工房で迎えてくれた靴は、3年半前に取材したときよりも、遠藤光志氏のスタイルであるフレンチのテイストが、より自然なかたちで靴に溶け込んでいた。修業したフランスのスタイルを、経験を積んでいく中で時間とともに自身のスタイルと上手くミックスさせていったのだろう。

 師匠は現ベルルッティのビスポークシューズ部門責任者、アントニー・デロス氏。2011年に渡仏し、彼が工房を構えていたソミュールにて学んだ。

 今回、作品の中で特に目を引いたのは、師匠もよく手がけていたというノルヴェジェーゼ製法のブーツだ。ダブルのすくい縫いが力強そうに映るが、ボリュームのある革に乗せてどっしりしたフォルムにし、その分デザインはシンプルにしたことで、製法にふさわしい存在感がありながらも見事な調和のもとに大変美しくまとまっている。ジーンズで日常的にサラリと履けそうな力の抜けたこのナチュラル感は、そう簡単に出せるものではない。

 フレンチテイストは氏の根幹にあるものだが、それをシンプルにまとめて表現する術は、この3年半で格段にアップしている。これだからニッポンの若き靴職人は面白い。これから先、氏はこの新しい工房とともにさらにもうひと回り進化していくだろう。将来がとても楽しみだ。

通常のハンドソーンウェルテッドによるドレスシューズも人気が高い。黒のキャップトウはあえて外側をべヴェルドウエストにはしていないため、力強い印象を備える。これもパリではよく見られるスタイルだ。もう一足の外鳩目のフルブローグといい、ボリューム感のあるラウンドトウが力強い印象だ。

中底のフィッティングを重要視し、ラストは底面の立体感に相当こだわっている。側面の当たりは柔らかく、柔剛のメリハリを上手くつけているのも心地よいフィッティングを生むポイントだ。師匠同様、遠藤氏も鉈で削ってから整えている。

遠藤 光志えんどう こうじ。1979年宮城県生まれ。23歳で靴リペアの職人となりキャリアを積んだのち、ビスポーク靴職人になることを決意。ギルド・オブ・クラフツの山口千尋氏が主宰する靴学校に通ったのち、2011年に渡仏。現在はベルルッティのビスポークシューズ部門の責任者を務めるアントニー・デロス氏に師事し、2012年に帰国。同年、自身のブランドを始動。今年8月、墨田区本所に移転。

コウジ エンドウ ボティエ東京都墨田区本所1-17-10
TEL. 03-6658-8220
(休)月曜  kojiendobottier@gmail.com

本記事は2018年9月22日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 24

Contents

<本連載の過去記事は以下より>

コルノ ブルゥ:完成されたベースラストから生まれる安心のビスポーク

タイ・シューメーカー:スラッとしていてグラマラス。女性のような色気のビスポーク

ユウキ・シラハマ ボティエ:日・伊・仏が融け合った現代的なビスポーク

セイジ・マッカーシー:日米ハーフの元エリートによる超絶クールなビスポーク靴

アン:ブロックから削り出すラストメイキングの奇才

イル クアドリフォリオ:個性革を自在に操る、革の魔術師

マーキス シューメーカー:1930~40年代の英国ビスポークの靴作りを追求

ヨウヘイ フクダ:ミリ単位の美意識が生む完璧なプロポーション

スピーゴラ:世界一美しいクロコダイルのビスポークシューズ

ウェルドレッサーたちもオーダーしているニッポンのビスポーク靴

イーサン・ニュートン×福田洋平 座談会

世界を虜にするニッポンの 美しい靴ベスト10