Saturday, April 18th, 2020

MR.VICE GUY

アンチヒーローを極めた男
俳優:サム・ロックウェル

text tom chamberlin photography david roemer
fashion direction grace gilfeather art direction rob french styling veronica perez

 そして彼の最新作が、冒頭で紹介したタイカ・ワイティティ監督による『ジョジョ・ラビット』だ。ロックウェルが演じるのは、ヒトラーユーゲントのキャンプで教官を務めるクレンツェンドルフ大尉である。タイカ・ワイティティが描くヒトラーは、喜劇的で奇抜で強烈な印象を残している。ロックウェルはこう話す。

「ナチスはさまざまな映画作品を通してゾンビや吸血鬼のような存在になった。『シンドラーのリスト』ではなく『失われたアーク《聖櫃》』のような作品でね。ナチスは完全な悪人で、こちらが思うままに銃撃しても誰も悔やまない存在。だから、奥行きのあるナチスを描くというのは大胆なことなんだ。タイカは母親がユダヤ人だったから、目的が100パーセント正当であるものだとわかっていた。この作品が親ナチ映画ではないということをね。彼は特別な洞察力を持っているし、斬新で型破りな表現もできる。今の時代において本当に興味深い作品になっているよ」

 本作でロックウェルは、『アイアンマン2』で共演したスカーレット・ヨハンソンと再共演している。彼はこう話す。

「彼女は今作でも僕を叩きのめすんだけどね。ちなみに彼女とはじめて会ったのは『ロスト・イン・トランスレーション』がヴェネツィア国際映画祭で初上映されたとき。スタンディングオベーションが起きたんだけど、彼女はまるでトラックにひかれたような表情だったよ。ヴェネツィアのスタンディングオベーションは特別だよね。『スリー・ビルボード』でもいただいたけれど、あれはかなり刺激的だよ」

本記事は2020年1月24日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 32

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