Monday, May 13th, 2019

HAPPY BIRTHDAY, MR. PRESIDENT
富と審美眼を持つ男の象徴
“ロレックス デイデイト”

1970年代:ref.18XXXとクオーツモデル
 70年代は、デイデイトが著しい技術進化を遂げた時代だった。1972年、デイデイトのキャリバー 1556に、リュウズを引き出すと秒針が止まるハック機能が実装された。風防にサファイアクリスタルが採用されたのもこの頃である。1977年にはリファレンスナンバーもひと桁多い18XXXとなり、新しいキャリバー 3055 が搭載された。最大の特徴は、4Hzの振動数により耐衝撃性が向上したことと、日付調整に重要なクイックセット機能を備えたことだった。
 同年、5055を発売したことも特筆に値する。32kHzの自社製クオーツムーブメントを搭載するデイデイトで、機械式と同じく貴金属製のみが製造され、2001年の生産終了まで販売された。私もバールウッドダイヤルを採用したイエローゴールド製を所有しているが、5055は非常に特別な時計であると断言できる。ブレスレットと一体化したケースの独特な形状や、温度補正機構まで搭載した類い稀なムーブメントがその理由だ。

1980年代:ref.182XX、183XX
 1988年、ロレックスはデイデイトのための新キャリバー 3155を発表し、ダブル・クイックセット機能を初めて搭載した。この機能により、時針や分針を回すことなく、リュウズを使って曜日と日付の両方をさらに素早く設定できるようになった。リファレンスナンバーは182XXと183XXとなった(後者はケースにダイヤモンドを配したモデル)。

2000年代:ref.118XXX
 2000年にはリファレンスナンバーが6桁(118XXX)にまで増え、主にブレスレットとクラスプに関して改良された。ロレックス デイデイト 36(ケース径36ミリ)は、現在でも時計製造技術において驚くべき時計だ。私が特に気に入っているのは、ダイヤルの色使いが心を揺さぶるもの。例えば、グリーンダイヤル×イエローゴールド製モデル、コニャックダイヤル×イエローゴールド製モデル、魅惑的なチェリーダイヤル×ホワイトゴールド製モデル、チョコレートダイヤル×エバーローズゴールド製モデルだ。
 これらの時計の美しい外観は、ある1970年代のデイデイトを彷彿とさせる。それは中東市場向けに製作されたデイデイトで、ターコイズブルー、ホットピンク、カナリーイエロー、ネオングリーンのダイヤルが特徴だった。この色彩を魅力的だと評価する人もいれば、眩しすぎると感じる人もいた。“ステラ”ダイヤルと呼ばれたこれらのニックネームは、鮮やかな原色使いで有名な画家フランク・ステラからきているという説や、ラッカー塗りの多層エナメルを使って製作されたダイヤルが輝きを放つため、ラテン語の“Stella(星)”に由来するという説がある。
 現在のデイデイト 36 のカラーダイヤルは、2013年に発表されたものだ。ロレックスは正式にコメントしていないが、これらが、コレクター垂涎の品となったステラダイヤルのデイデイトを踏襲したものであることは明らかだ。
 2008年には、ケース径41ミリという、デイデイト史上最大のサイズを誇るデイデイトIIが発表された。ムーブメントはキャリバー 3156。しかし、2015年にはサイズを僅かに1ミリ縮小して、さらに優雅さを表現するデイデイト 40となった。

完成体となったデイデイト
 デイデイト 40に搭載された新しいキャリバー 3255は、ロレックスを代表する技術成果のひとつ、クロナジー エスケープメントを採用している。この脱進機は、伝統的な機械加工よりはるかに精度の高いLiGA技術で製作された、ニッケル・リン合金製のアンクルとガンギ車で構成されており、磁気の影響を受けない。
 ガンギ車は体積を大幅に抑えているため、はるかに軽量で慣性が小さい。1秒あたり8回の頻度で停止と始動を繰り返す装置において、これは大きな意義を持つ。この軽量化により、15%も効率が向上している。ロレックスのすべての時計がそうであるように、時計の振動子をなすテンワはフリースプラング方式だ。これは、ひげゼンマイにかかる張力を変える代わりに、テンワのリムに組み込まれたウェイトを使って調整する方式である。なお、ひげゼンマイはパラクロムという独自素材でできている。パラクロムは、塑性復元力に優れたニオブとジルコニウムの合金で、耐磁性、耐衝撃性に優れる。こうした特性により、デイデイトは美しいだけでなく、世界屈指の信頼性を誇る機械式時計であることが証明されるのだ。
 デイデイトは時計の枠をはるかに超えた存在だ。心の強さの象徴であり、パワーを高めるためのツールであり、誰もがはっきり理解できるような朗々たる意思表明である。真の男の時計コレクションは、デイデイトなしでは完成しない。
*ジョン・F・ケネディ = 1962年に、マリリン・モンローから愛のメッセージを刻印したデイデイトを誕生日プレゼントとして贈られた。
*エバーローズゴールド = 経年による退色を防いだロレックス独自のローズゴールド。

ロレックス デイデイトの過去の広告。この時計の対象層をわかりやすく提示している。

エバーローズゴールド製ケースのデイデイト36の新作。¥3,560,000(税別予価)・今夏発売予定 Rolex

THE RAKE JAPAN EDITION issue 26
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