April 2023

MAKING THE WORLD FAMOUS FLANNEL

フォックス ブラザーズのフランネルが最高である理由

世界最高級のクオリティを誇るフォックス ブラザーズのフランネルは、まさに「マスタークラス・フランネル」と呼ばれるにふさわしい。

Douglas Cordeaulx / ダグラス・コルドー1964年生まれ。テキスタイルデザイナーとして17年のキャリアを積み、2008年にフォックス ブラザーズの経営権を取得。CEOに就任し、破綻寸前だった同社の経営の立て直しに成功する。英国屈指のウェルドレッサーとしても名高い。コルドー氏の美学が反映されたフォックスの現行生地は、決して華美に走らず、どの柄を選んでもシックにまとまると評判だ。

 フォックス ブラザーズは、英国を代表するテキスタイルミルだ。最高品質のウール地を、世界中のテーラーやデザイナー、ファッションハウスなどに提供している。創業から250年という長い歴史を誇り、フランネルを初めて作ったミルとして知られている。フランネルという言葉自体、フォックスブラザーズの商標だったのである。この2世紀の間に、フランネルの種類は大幅に増えた。現在では、リッチなメランジ調のフランネルから、洗練された軽量なウーステッド・フランネルまで、さまざまなバリエーションが揃っている。一年を通じて着られる生地となったのだ。

 世界各国で数々のアワードを受賞したフォックス ブラザーズのフランネル地ができあがるまでには、その工程のひとつひとつに、多くの熟練の職人が関わっている。各工程で最も重要なのは原材料のクオリティだ。英国産のウールから繊細なオーストラリア産スーパーファインメリノウールまで、フォックス ブラザーズで織られる多種多様な生地のための糸は、慎重に選び抜かれたものばかりだ。

 糸が選ばれると、細心の注意を持って生地が織り上げられていく。まず糸は必要に応じた長さでコーンに巻かれる。このコーンが経糸となる。その糸端の数は時に5000本以上になる。

 これらの糸端は、選択したパターンに沿って並べられ、織機の後部に位置するビームに巻き付けられる。ここから経糸を手でヘルド(綜そう絖こう=経糸を上下させる装置)に通していく。へルドは軸に固定され、その軸を持ち上げることで特定の織り柄が作られる。一般的なのはプリュネルとツイルで、ここから最高級のフランネルを作ることができる。

 次に経糸をリードと呼ばれる細い櫛に通して整える。これで織機への経糸のセットは完了で、織り始めることができる。織機の奥から手前まで張り巡らされた経糸の上を、横糸が一定のリズムで移動する。

 この間、フォックス ブラザーズの布に求められる最高の品質が保たれるよう、糸と布は常にモニターされている。織られた布はテーブルに移され、さらに点検が行われる。クオリティ・コントロールを担当するチームが、生地に欠陥がないことを徹底的に確認する。

 最終工程はフィニッシングだ。艷やかな布は、それぞれ独自の方法で仕上げられていく。ミリングと呼ばれる工程はフランネルにとって特に重要である。ウールの繊維を叩いて砕き、柔らかいウール同士を融合させるのだ。これによって一本一本の糸が持つ柔らかさを引き出すのである。フォックス ブラザーズのフランネルは、伝統に育まれた職人技の結晶であり、他では決して得られないクオリティを持っている。洒落者を自認するなら、必ず一着は持っておきたい、基本にして究極のファブリックなのである。

フォックス ブラザーズを代表するクラシックなフランネルの生地。最も有名なやや黄みがかったライトグレイをはじめ、すべてのファブリックは創業年である1772年とほぼ同じレシピで作られている。重さは370~400g/mとやや厚手を選ぶのが王道だ。着こむほどにしなやかになり、素晴らしい着心地を味わえる。近年ではフランネルのみならず、200g/m以下のウーステッドなど薄手の生地も多くリリースしており、通気性がよく涼しいのに、表面地がブレないと評判になっている。Fox Brothers(OFFICE S.A.M. Tel.03-3408-6789)

THE RAKE JAPAN EDITION issue 51

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