Exclusive Interview
JON HAMM
HAS SOMETHING ON HIS MIND
俳優:ジョン・ハム
遅咲きが貫く信条
June 2020
photography nino munoz
fashion direction grace gilfeather
styling veronica perez
初出演作『スペース カウボーイ』(2000年)では名前のない役だったが、その後コンスタントに映画やテレビの仕事を得るようになる。そして2007年、ハムは1960年代NYの広告業界を描いたドラマ『マッドメン』で主人公のドン・ドレイパーを演じ、自信に満ちた装いや苦悩を抱える謎めいた雰囲気を通じて、新時代のスタイルアイコンとなった。
アイコニックな役柄には代償が付き物だ。シリーズが長期化すれば、人々はキャラクターにどんどん入れ込み、それが俳優にとてつもないプレッシャーを与える。ハムにとってもそれは同様で、全7シーズン92話に及んだ『マッドメン』の終盤になるとそれは特に顕著だった。
「精神的葛藤を抱えた、陰のある多面的な役を何年も演じる場合、代価を払うことになる。俳優業というのは、難なく耐えられることじゃないし、一筋縄ではいかないからね。軍人とも違うし、鉛の採掘業者や召使いをやるのとも違う」
連続テレビドラマという実入りのいいジャンルは、まだ揺籃期にある。若手俳優に向けて助言はあるか尋ねた。
「大切なのは一連のスキルで、それを伸ばすこと。スキルを生まれ持っている人はいない。どんな役者であろうと、まずやってみて、そして失敗して、自分のスタイルに辿り着く。時には大きな困難にぶつかったり、恥ずかしい思いをしたりするけれど、人とのつながりに助けられながら乗り越えてほしい。ここでもやはり、自分自身や友人や仲間とのつながりを保つというメンタルが重要になる。自分の持つ何かを要求してきたり、奪いにきたりする人たちとは距離を置いたほうがいいね」
本記事は2020年3月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 33