Thursday, May 14th, 2020

手仕事モノ図鑑04

FERRUCCIO SERAFINI
バッグ

“神は細部に宿る”という言葉のごとく、磨き抜かれた職人技は
ほんのわずかなディテールにも結晶のごとく集約されている。
そんな手仕事名品たちの“見どころ”を解説しよう。
text hiromitsu kosone photography jun udagawa styling akihiro shikata

真のクラシックが宿る
“ローマのじっちゃん”の温もり

issue10

今年で87歳のフェッルッチオ・セラフィーニ氏。馬具職人だった父の工房に連れられて入ったのがキャリアのスタートだ。2009年にはローマ市長にその技が認められ、表彰もされている。

Craftsmanship Point現在においてはほとんど見ることができない、昔ながらのイタリアン・クラシック鞄を作り続けているのがセラフィーニ最大の魅力。山っ気を出してモダナイズをしないところが逆に新しい。ひとつひとつ革を手裁ちし、丹精込めて作られる鞄は、移り気な巷のトレンドとは一線を画した佇まい。ビスポークスーツと最高の相性だ。

 ローマの鞄&革小物職人、フェッルッチオ・セラフィーニ氏がその道に入ったのは1942年、9歳のとき。以来78年にもわたって鞄作り一筋で歩んできたわけだから、本物のレジェンドだ。現在工房に勤めるのはわずか2名。セラフィーニ氏本人と娘婿のルイージ・スカンダーレ氏である。

 そんな小さな工房で生まれるのは、何十年前から変わらない手作りの革鞄たちだ。新世代のクラシックファンたちが伝統のクラフツマンシップを求めて熱狂する今の時勢など、きっと気にも留めていないのだろう。今どきのニーズに合わせて機能を加えたり、デザインを改変することもほとんどしていない。素朴なベジタブルタンニンなめしの革は、少し使えば引っ掻き傷だらけになってしまう。

 が、そこが素晴らしい。時代におもねらず、古き良き真のクラシック鞄をごく当たり前に継承しているところにこそ、フェッルッチオ セラフィーニの真価があるのだ。丁寧に施されたステッチひと針にも温もりが宿る。“ローマのじっちゃん”のお手製鞄は、見るほど、使うほどに愛おしさが深まる逸品だ。

issue10

日本で購入できるのは、クラシックなレザーリュックとシンプルなクラッチバッグ。いずれも素朴な雰囲気が魅力だ。リュック(H41×W32×D15㎝)¥81,000、クラッチバッグ(H26×W37×D5㎝)¥45,000 both by Ferruccio Serafini / Afterhours

本記事は2020年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 33

Contents

<本連載の過去記事は以下より>

THE WARMTHCRAFTS-MANUFACTURE コードバン鞄

100 HANDS 「ゴールドライン」シャツ

JOHN LOBB ビスポーク乗馬ブーツ

KENJI KAGA エンブロイダリータイ

ANTICA CAMICERIA LOMBARDI シャツジャケット

CICCIO ビスポークスーツ