Tuesday, May 12th, 2020

手仕事モノ図鑑01

CICCIO
ビスポークスーツ

“神は細部に宿る”という言葉のごとく、磨き抜かれた職人技は
ほんのわずかなディテールにも結晶のごとく集約されている。
そんな手仕事名品たちの“見どころ”を解説しよう。
text hiromitsu kosone photography jun udagawa, natsuko okada
styling akihiro shikata

ハンドメイドでしかなし得ない
究極のノボリ

issue10

Craftsmanship Pointショルダーラインと上襟のラインが一本の線に繋がって見えるノボリこそ、上木氏が最も心を砕いている点。ここが山のようになだらかなラインを描くことにより、見た目の美しさを演出するのはもちろん、ジャケットを頸椎で支える形になるため、着心地を軽く感じさせることにも繋がるという。

「本当は、いかにもハンドメイドっていう見せ方はしたくないんです」

 以前、取材の合間にチッチオ代表・上木規至氏がこう漏らしたことがある。その言葉を裏づけるように、チッチオのスーツには手仕事を誇張するようなところが一切ない。しかしもちろん、その洗練を極めた美しさをかなえるのはあらゆる場所に宿る世界最高レベルの手仕事だ。

 ナポリサルトたちはスーツ作りのキモを上襟のノボリに見いだすことが多いが、上木氏の美意識もまた、ここに集約されている。しっかりと襟をノボらせるためには、アイロンワークによる殺し込みが重要とよく言われるが、実はビスポークスーツの場合、前身頃と後ろ身頃のバランスこそ要なのだという。

本記事は2020年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 33

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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

THE WARMTHCRAFTS-MANUFACTURE コードバン鞄

100 HANDS 「ゴールドライン」シャツ

JOHN LOBB ビスポーク乗馬ブーツ

FERRUCCIO SERAFINI バッグ

KENJI KAGA エンブロイダリータイ

ANTICA CAMICERIA LOMBARDI シャツジャケット