A SHOT AT THE BIG TIME

貴族のための最後のスポーツ

May 2019

text sophia money-coutts

『The Shooting Party』でのジェームズ・メイソンとジョン・ギールグッド(1985年)。

それでも遊猟は続く 遊猟界における公爵や侯爵の割合が今でも驚くほど大きいのは確かだが、エドワード7世時代に比べると、最近の遊猟はほんの少しだけ平等主義的だ。パーディー社製の新しい銃に大金を注ぎ込むような余裕のない人々も参加できる、控えめな集まりも増えている。

 キツネ狩りが禁止され、動物保護活動家たちが次に目を付けているのは遊猟ではないかといわれている。しかし遊猟の擁護者たちは、このスポーツが英国経済にとって不可欠だと指摘する。500万エーカー近くの国土が遊猟のために管理されており、フルタイム雇用者数は7万人以上だからだ。遊猟はもうしばらくの間は存続するといって間違いないだろう。

 数年前(悲しいかな、招待客ではなく有料入場者として)王室所有の別邸サンドリンガムを歩き回っていた私は、応接室のソファの上で刺繍入りクッションを見つけた。刺繍されていたのは「Good shots never grow old, they just pick up less birds(優れた射手は決して年を取らない。拾い上げる鳥の数が減るだけだ)」という言葉だった。私が声をひそめて笑っていると、係員がそれを耳ざとく聞きつけた。「それは、ある年のクリスマスにハリー王子がエディンバラ公へお贈りになったものです」と彼は話してくれた。

 時代は変わっても、ずっと変わらないものもある。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 27
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