May 2019

A SHOT AT THE BIG TIME

貴族のための最後のスポーツ

text sophia money-coutts

勢子の一団が着用しているクックハットは、木の枝に対する保護帽としてトマス・クックが注文したのが始まりだ。

 アウトドア専門店ファーロウズのピーター・サント氏によると、最近はゴム製の長靴ウェリントンブーツより独マインドルのハイテクブーツの方が人気だという。彼が初心者に送るアドバイスは、そろいのツイードアイテムを同時に3点以上身に着けないことだ。「ブリークス、コート、ハットといった組み合わせは絶対に避け、2点以下にします」と語る。

 ノーサンバーランド公爵の令嬢であり、遊猟向け婦人服ブランド、ミスタミナを立ち上げたメリッサ・パーシー嬢にも聞いてみた。女性が猟場で非礼とみなされるのは?「ツイードのミニスカートですね」とミッシー。では男性の場合は?「野球帽をかぶることです」

 土曜日の夜に泊まる予定なら、タキシードと黒の蝶ネクタイも持参すべき場合がある。数年前にスコットランドで開催された週末の遊猟会では、女性が“膝丈またはそれより長い”ドレスの着用を求められた。(こんなときこそ必要な女性参政権論者たちは、一体どこにいるのか?)

 仮装服を求められる場合もある。パーティには、ぜひ参加するべきだ。今でも不参加を重大な罪とみなす地域はある。私が2~3年前に行った遊猟会の夜のテーマは“ゲーム”だった。そのため、ライチョウ、スーパーマリオのルイージ、巨大なルービックキューブの仮装をした招待客が、リビングルームに集まった。

 遊猟会の夜には廊下の忍び歩きや不品行な行為をするという誇り高き伝統もある。既婚者も未婚者も、深夜の食料貯蔵室で深い仲になりがちなのだ。すると、翌朝はベーコンエッグ越しにぎこちない視線が飛び交うことになる。

1日の猟を終え、夕食後に足を上げてひと休みする男性たち。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 27
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