March 2021

TIME AND TIDE

進化する傑作、サブマリーナー

1953年の誕生以来、高い人気を誇るロレックスのサブマリーナー。
このクラシックなダイバーズウォッチは、一分の隙もない完璧な進化を遂げてきた。
text ross povey

2020年に発表された新作。見た目にはどこが変わったのかわかりにくいが、41mmへのケース径サイズアップ、ブレスレット幅や針の拡大、そして新キャリバー3230の搭載と確実な進化を遂げている。パワーリザーブは約70時間。「サブマリーナー」自動巻き、SSケース、41mm ¥777,000 Rolex

 ダイバーズウォッチは現在、数多くのモデルが存在する。しかし、もし時計愛好家たちにひとつだけ名前を挙げるよう尋ねたら、9割以上の人がロレックスのサブマリーナーと答えるだろう。サブマリーナーはプロフェッショナルウォッチであるだけでなく、時計製造技術とスタイルの両面においてアイコンである。デイト、ノンデイトともに、長い年月をかけて丁寧に改良を重ねてきた名作だが、1953年の誕生から70年近く経った今も、そのDNAは忠実に守られている。

 2020年は、サブマリーナー、サブマリーナー デイトの両モデルの新作が登場し、話題となった。今回も“革新”というより“進化”と呼ぶべきものではあるが、ケースやムーブメント、ブレスレットの変更など、静かに、しかし確実に、重大なアップデートが行われた。ケース径は初めて40mmから41mmにサイズアップし、ブレスレットの幅も変更され、存在感が増した。ムーブメントも、サブマリーナーはキャリバー3230、サブマリーナー デイトはキャリバー3235へと変更された。

 サブマリーナー デイトは、オイスタースチール、イエローゴールド、ロレゾール(オイスタースチールとイエローゴールドのコンビネーション)、そしてホワイトゴールドの4つの素材のバリエーションがあり、ダイヤルやセラクロムベゼルのカラー違いで全7モデルを展開。すべてが41mmのケースと新デザインのオイスターブレスレットを採用している。

 今回の進化をより深く理解するため、サブマリーナーの歴史を見ていこう。 サブマリーナーの最大の特徴は、ロレックスが「Kaizen(改善)」という日本のビジネス哲学を彷彿とさせる手法を取り続けてきたことにある。実際、初代と最新モデルを比較してみると、輪郭こそ多少異なりダイヤルの仕上がりもテクニカルに進化しているが、レイアウトやルックスはほぼ変わっていない。今もなお、ルーツを忠実に守っているのだ。

本記事は2021年1月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 38

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