Friday, April 16th, 2021

Dressing for a New Era 05

THE RAKEが注目するファッショニスタたち vol.5

6. 山口 浩久
Joshua Ellisディレクター
良質なオーセンティックは
味わいを増していくばかり
text & photography yuko fujita

Hirohisa Yamaguchi1967年、愛知県生まれ。大学卒業後、繊維専門商社に8年間勤務。その後渡英し、2000年から2015年までスコットランドのテキスタイルブランドの仕事に携わる。2015年4月よりジョシュアエリス。現在は自身でコレクションを組み立てて、日本でのマーケット拡大に多大なる貢献をしている。生地に関するプロフェッショナル中のプロフェッショナル。

ドーメルのスポーテックスで仕立てたペコラ銀座のスーツは、氏のリクエスト内容も手伝って、超ミラノ的カットの、立体的で風格たっぷりな仕上がり。肩幅を広めにし、小さいアームホールに太い腕で、抑揚がついて立体感のあるフォルムが好きだという。シャツもペコラ銀座で佐藤氏の採寸のもとミラノのアレッサンドラが仕立てたもの。ウールジョーゼットのネクタイはジェドバラというホーウィックの隣町で99年に購入。チーフはルビナッチ。

 山口浩久氏がジョシュアエリスに携わるようになったここ数年で、同ブランドの日本での人気は急上昇しているが、それは氏の企画・デザイン力が抜きん出ているからにほかならない。どう今のスパイスを注入するのか、ときにモダンに、ときにトラッドに、味つけの塩梅が本当に素晴らしい。クラシックな服、トラッドを心から愛する山口氏はファッション界のミスター・アンダーステートメントであり、彼を知る人でそれに異論を挟もうとする人は誰もいないだろう。

 ビスポークのスーツは15年の付き合いになるペコラ銀座の佐藤英明氏のところで仕立てたもの。リクエスト内容は毎回決まっている。ミラノで学んだ素の服を仕立ててほしい、二の腕は絶対に細くしないでほしい、この2点。するとこの通り、まんまミラノの仕立ての服が仕上がるわけだ。氏の装いを見て、皆さんは何を感じただろう?

「友人というフィルターがあれば別ですけど、初対面の相手と会うときにきちんとしたスーツを着ることってとても大切だと思うんです。ロンドンで佐藤さんのスーツを着ているとすごく安心感がありますし、誰からも素晴らしい仕立てだと褒められます。初対面であればなおさら、相手からの信頼度が絶対的に違うんですよね」

 ペコラ銀座のスーツもジョシュアエリスのカシミアマフラーも、氏が所有している靴やカバンたちも、良質なオーセンティックは年月の経過とともに味わいを増していくとも。

「それには素材のよさも大切です。軽やかなものが重宝される時代ですが、いいものを作れるのは、必ず重いものを作れるところなんですよね」

山口氏の注目&愛用アイテム

ファーは秋山淳一郎氏が企画しているイタリアのフラテッリ ジャコメッティ。「ジャコメッティの靴はイタリアの靴には見えない無国籍な感じが気に入っています」。

ネクタイは無地の次にストライプが好みで幅は9cmが理想というが、最近はなかなかないのが悩み。

ジョシュアエリスのカシミアマフラー。日本に入ってきている多くのコレクションは、山口氏が企画して起こした柄だ。モードを好む人と、クラシックを好む人、中間を好む人に向け、見事なコレクションを組み立てている。左から、¥32,000、¥32,000、¥30,000 all by Joshua Ellis(グリニッジ ショールーム Tel.03-5774-1662)

本記事は2021年1月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 38

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