Tuesday, May 4th, 2021

鴨志田康人:大研究

世界が見る鴨志田康人のスタイル vol.2

“日本とヨーロッパ、相互への理解が彼のスタイルを創りあげている。”
—ジャン=クロード・コルバン
direction & text yoshimi hasegawa

Jean=Claud Colban / ジャン=クロード・コルバン1838年創業、パリのヴァンドーム広場28番地に位置するシャツメーカー、シャルべ。シャルル・ド・ゴール大統領など多くの政財界人に愛されたフランスを代表する老舗メゾン。倒産の危機に瀕した同社を父ドニ・コルバン氏が1964年に買収。妹のアンヌ=マリー・コルバン氏と共に経営を担い、1982年より同社ジェネラルディレクターに就任、現職。

 鴨志田氏はユナイテッドアローズ等、今まで数々のシャツの発注を通して、シャルベのジェネラルディレクターであるジャン=クロード・コルバン氏と長年にわたり仕事をしてきた。

 フランスのクラフツマンシップを代表するシャルべの歴史と伝統を背負い、クリエーションを続けていくコルバン氏の姿に多大なる敬意を持ち、また影響を受けたという。

 コルバン氏はこのインタビューで、この困難な時代に鴨志田氏と日本人がクラフツマンシップへの文化的価値を認め、支援を続けていることへの感謝を語ってくれた。

「ミスター鴨志田とは20年来の付き合いになります。初対面のときからその装いとマナー、完璧でクラシックなエレガンスに心打たれました。それ以来、新しいアイデアやプロジェクトの進展を彼に見せるのがいつも楽しみとなりました。

 彼は文化的、芸術的な観点からファッションの歴史に造詣が深く、なぜ私たちがその選択をし、どこへ向かっているのか、完璧に理解しているからです。こうして私たちの関係は実り多いものとなり、会う度に、プロジェクトが進化していることを実感しています。

 鴨志田さんのスタイルは非常にグローバルな視点と日本固有の視点を合わせもっています。例えば徳川時代の着物の裏地の重要性、シャツの袖口のデザインと肌の出方について楽しく議論したことを覚えています。まさに日本の伝統である“粋”の感覚です。

 彼は私たちの文化にも非常に造形が深く、パリを訪れるたびにビジネス関連の展示会だけでなく、ファッションとは必ずしも結びつかない様々な事柄に興味を持っていて、私たちの文化の側面を発見するために時間を割いていること、そのレベルがとても深いことに、いつも感心させられます。

 ヨーロッパ人から見た彼のスタイルにある正当性はこうした相互の文化への深淵な理解に基づいているのに違いありません」

ヴァンドーム広場で現存する最古のメゾン、シャルべ。周囲は右岸のエスプリを代表する老舗が立ち並ぶ、パリのエレガンスを体現するエリアだ。老舗の矜持を守ってきたコルバン氏とカフェでのリラックスしたひととき。コルバン氏を魅了するのは鴨志田氏のユーモアや物事を正確に把握する独特のセンスだという。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 38

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