March 2021

TIME AND TIDE

進化する傑作、サブマリーナー

text ross povey

ロレックスにとって重要な年となる1953年に発表された初代サブマリーナー。

 1953年はロレックスのプロフェッショナルウォッチにとって極めて重要な年であった。後にロングセラーとなるエクスプローラーとサブマリーナー、そしてターノグラフ(Ref.6202)のデビューイヤーでもあった。この年までにロレックスは、既に防水腕時計メーカーとしての評判を確立していた。

 先見の明を持つロレックスの創設者ハンス・ウイルスドルフは、1927年、ドーバー海峡を泳断した初のイギリス人女性メルセデス・グライツに、ロレックス オイスターを着用させるよう取り計らったのだ。ロレックスが一躍有名になったのは、これがきっかけと考えられている。名声を獲得したロレックスが、新興のウォータースポーツをターゲットにしたプロフェッショナルウォッチを製造するようになるのは自然なことだった。

初期のサブマリーナー 1950年代前半には、現代的なダイビング器材が市販されるようになり、より多くの人々がダイビングを娯楽として楽しめるようになっていた。

 初代サブマリーナーRef.6204は、水深100mまでの防水性能が保証された初のダイバーズウォッチだ。その特徴は、ラジウム塗料を使用した針と視認性の高いダイヤルレイアウトである。水中のような薄暗い環境でも時間を知ることができ、回転ベゼルで経過時間の計測も可能だった。ベゼルの三角のマークを潜水開始時の分針の位置に合わせると、正確な潜水時間を確認できる仕組みで、単純ではあるが、これこそが生死を分ける重要な情報だったのだ。

本記事は2021年1月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 38

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