The Rakish ART ROOM Vol.04

今買える、世界の名画 Vol.04
アンリ・マティス

July 2020

text setsuko kitani cooperation mizoe art gallery

赤い背景の裸婦アンリエットがモデルの《赤い背景の裸婦》は、エキ刺繍のある緑のブラウスゾチックなタペストリーに覆われた画面が印象的。この舞台装置は、それまでホテル暮らしだったマティスが、シャルル・フェリックス広場一番地に借りた豪華なアパートにテキスタイルのコレクションを持ち込んで作られた。キャンバスに油彩 55.5×33.6cm 1922年制作。 お問い合わせ:ザ・レイク・ジャパン info@therakejapan.com

 生涯に100点以上もの窓のある作品を描いたマティスは、「窓の画家」の異名を持つ。鎧戸や格子なども含め、「窓」は彼にとって、画面に垂直という造形的な要素を与え、内と外を結ぶ重要なモチーフだった。この作品でもいくつもの光景が瀟洒な室内からヨットが浮かぶオフ・シーズンの地中海へと連続し、穏やかな光の中で広がっている。

《窓辺の女》に描かれたアントワネット・アルヌーは、1918~20年にかけてマティスのモデルをつとめた地元ニースの女性である。描かれたモデルの多くを同定できるのはマティス芸術の特徴だ。

マティスが最晩年に手がけたロザリオ礼拝堂の仕事では、ステンドグラスはもちろん、燭台や司祭の式服までデザインした。

マティスが晩年を過ごしたホテル・レジーナの先の、古代ローマ遺跡の中に建つマティス美術館。

本記事は2019年9月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 30

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