THE MODERN TENDENCIES OF THOM SWEENEY

サヴィル・ロウの最前線トム スウィーニー

January 2019

by tom chamberlin
photography kim lang

最終フィッティングでのトム・ウィデット(左)とルーク・スウィーニー(右)。伝統的な技術と長きにわたる歴史を持つビスポークの世界に参入し、今どきの若者にフィットするよう変革を起こしたテーラーリング・ハウスがトム スウィーニーである。昨年、創立10 周年を迎えた。

 個人的な好みで、ラペルを幅12cm程度になるよう広げ、ゴージラインを下げ、ラペルにトム スウィーニーらしさを残しながら、ウエスト部分はすっきりさせた。また、私の太い首を考慮に入れ、上襟を高くした。彼らのスタイルとは異なるが、着丈も長くした(約84cm)。

 他のスーツと比べものにならないのがその着心地のよさだ。肩パッドは最小限に抑えられ、肩先は控えめのロープド・ショルダーにして動きやすさを高めている。

 背中はぴったりフィットし、ウエストのラインも美しいのに、窮屈な感じはない。

 トラウザーズも完璧に近かった。ウエストを詰めなければならない、という嬉しい誤算があっただけだ。デニムにもかかわらず、前面のダブルプリーツのおかげで、ジーンズとは一線を画す。これは個人的にぜひお勧めしたい。

 デニムやノータイ禁止の施設を除けば、このアンサンブルはどんなシーンにも活躍してくれそうだ。私のようにロールネックが合わない人は、このドレイクスのような、デニムシャツを合わせればよい。フォーマリティに敬意を払いつつ、かつ息苦しくなることもないだろう。

 トム スウィーニーは、テーラーリングによる服を、現代人の日常の一部としようとしている。最近ニューヨークにもショップがオープンした。彼らの躍進は誰の目にも明らかだ。私はトム スウィーニーが英国から世界へ輸出され、人気を得ていることを誇りに思う。

 今回は、理想のモダンスーツを手に入れることができた。着心地がよく、エレガントで、多目的に使える一着だ。こまやかなディテールに至るまで個人の要望に応えてもらえたのは、ビスポーク・サービスならではの贅沢であった。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 26
1 2 3 4

Contents