Friday, January 25th, 2019

THE MODERN TENDENCIES OF THOM SWEENEY
サヴィル・ロウの最前線トム スウィーニー

上はフレスコ、下はデニム

 今回は春夏物。生地はジャケットに優美なドレープが入り、かつシワが寄りすぎないものが理想だ(だから、リネンは除外した)。これまで、通気性がよくシワが付きにくいことから、既製服で何度も利用してきた生地がある。ハーディー・ミニスの“フレスコ”だ。
 フレスコⅡはオールシーズン使える10オンスの生地で、チフォネリのスーツや、ケント・ヘイスト&ラヒターのブレザーを持っている。今回使用したのは、それより1オンス薄いフレスコⅢで、非常に軽い着心地でありながら、ブリティッシュ・クロスの生地感は保たれている。
 トラウザーズは色味が似ていて、かつ、ジャケットなしでカジュアルにも穿けるのが理想だ。そこで、イタリアン・クロスを選択、なかでも最高級メーカー、ロロ・ピアーナに決めた。山のようにあった生地から選んだのが、540g/17オンスのデニムだった。ミリタリー風のかっちりとした印象と、ブラッシュド・コットンの柔らかさという二面性を持つ生地だ。
 個人的な好みで、ラペルを幅12cm程度になるよう広げ、ゴージラインを下げ、ラペルにトム スウィーニーらしさを残しながら、ウエスト部分はすっきりさせた。また、私の太い首を考慮に入れ、上襟を高くした。彼らのスタイルとは異なるが、着丈も長くした(約84cm)。
 他のスーツと比べものにならないのがその着心地のよさだ。肩パッドは最小限に抑えられ、肩先は控えめのロープド・ショルダーにして動きやすさを高めている。
 背中はぴったりフィットし、ウエストのラインも美しいのに、窮屈な感じはない。
 トラウザーズも完璧に近かった。ウエストを詰めなければならない、という嬉しい誤算があっただけだ。デニムにもかかわらず、前面のダブルプリーツのおかげで、ジーンズとは一線を画す。これは個人的にぜひお勧めしたい。
 デニムやノータイ禁止の施設を除けば、このアンサンブルはどんなシーンにも活躍してくれそうだ。私のようにロールネックが合わない人は、このドレイクスのような、デニムシャツを合わせればよい。フォーマリティに敬意を払いつつ、かつ息苦しくなることもないだろう。
 トム スウィーニーは、テーラーリングによる服を、現代人の日常の一部としようとしている。最近ニューヨークにもショップがオープンした。彼らの躍進は誰の目にも明らかだ。私はトム スウィーニーが英国から世界へ輸出され、人気を得ていることを誇りに思う。
 今回は、理想のモダンスーツを手に入れることができた。着心地がよく、エレガントで、多目的に使える一着だ。こまやかなディテールに至るまで個人の要望に応えてもらえたのは、ビスポーク・サービスならではの贅沢であった。

完成したアンサンブル。ハーディー・ミニスの9 オンスのフレスコ生地を使用したジャケットとロロ・ピアーナのデニム生地を使用したトラウザーズ。これにデニムシャツを合わせた

最終フィッティングでのトム・ウィデット(左)とルーク・スウィーニー(右)。伝統的な技術と長きにわたる歴史を持つビスポークの世界に参入し、今どきの若者にフィットするよう変革を起こしたテーラーリング・ハウスがトム スウィーニーである。昨年、創立10 周年を迎えた

THE RAKE JAPAN EDITION issue 26
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