THE MODERN TENDENCIES OF THOM SWEENEY

サヴィル・ロウの最前線トム スウィーニー

January 2019

by tom chamberlin
photography kim lang

完成したアンサンブル。ハーディー・ミニスの9 オンスのフレスコ生地を使用したジャケットとロロ・ピアーナのデニム生地を使用したトラウザーズ。これにデニムシャツを合わせた。

 雑誌『ザ・ジャッカル』の副編集長を務める、アレックス・ツヴェトコヴィッチも、スウィートのことを高く買う。

「彼は英国のビスポーク・テーラーリング界で、今最も面白く、並外れた才能を持つカッターのひとりだ。2年半前に初めて会ったときから、ずっと尊敬の念を抱いてきた。彼は芸術のひとつとして仕事に向き合い、技術的な正確さと同時に、よい服を作りたいという情熱とこだわりを持っている。仕事に対して理屈っぽくなりすぎるテーラーもいるが、彼は違う。カッティングの技術はもちろん、常に顧客のことを考えて、着心地の良い最高級のスーツが完成するまで見届けてくれる」とベタ褒めである。

 スウィートのことからも、トムとルークの才能を見る目が確かで、ビスポーク・テーラーリングの未来の担い手を育てようとしている姿勢がよくわかる。

上はフレスコ、下はデニム 今回は春夏物。生地はジャケットに優美なドレープが入り、かつシワが寄りすぎないものが理想だ(だから、リネンは除外した)。これまで、通気性がよくシワが付きにくいことから、既製服で何度も利用してきた生地がある。ハーディー・ミニスの“フレスコ”だ。

 フレスコⅡはオールシーズン使える10オンスの生地で、チフォネリのスーツや、ケント・ヘイスト&ラヒターのブレザーを持っている。今回使用したのは、それより1オンス薄いフレスコⅢで、非常に軽い着心地でありながら、ブリティッシュ・クロスの生地感は保たれている。

 トラウザーズは色味が似ていて、かつ、ジャケットなしでカジュアルにも穿けるのが理想だ。そこで、イタリアン・クロスを選択、なかでも最高級メーカー、ロロ・ピアーナに決めた。山のようにあった生地から選んだのが、540g/17オンスのデニムだった。ミリタリー風のかっちりとした印象と、ブラッシュド・コットンの柔らかさという二面性を持つ生地だ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 26
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