August 2020

THE EXCELLENCE OF FABRIC

生地から楽しむ仕立て服

この生地で楽しむ〜名作生地04、05、06
SMITH WOOLLENS “Botany”
HARRISONS OF EDINBURGH “Oyster”
PORTER&HARDING “Hartwist”

名門LBD-ハリソンズで今季注目したいのは
英国の燻し銀を感じさせる3ファブリック
LBD-ハリソンズグループの6ブランドは英国生地好きからすればどれも垂涎モノだ。
その中から3つ、今季オススメしたい生地をクローズアップしてみた。

SMITH WOOLLENS “Botany”(左)1921年にロンドンで創業したスミス ウールンズは、骨太で英国然としたオーセンティックな生地に定評があるマーチャント。2014年から英国最大のファミリーマーチャントグループLBD-ハリソンズの傘下となり、同グループの6ブランドの中で、地味ながらもクラシックの核心を突いたコレクションで人気だ。今回オススメするボタニーは52番双糸による380g/410g/mの生地で、トップ糸を使用した美しい無地のバリエーションが充実している。ほかに、4プライや3プライのトラベルスーチング「フィンメレスコ」、ライト~ミディアムウェイトの「スーパーキッドモヘア」も有名。それと、ここはあの玉虫色のソラーロの生みの親でもある。
※リニューアルバンチは8月下旬より展開予定。

HARRISONS OF EDINBURGH “Oyster”(中)1863年に創業した英国きっての名門マーチャントで、真っ赤なバンチでも知られる。これまでグループ内のリア ブラウン&ダンスフォードのコレクションバンチとして存在していたが、今秋冬よりハリソンズ オブ エジンバラのバンチとして加わった。48番手の双糸を使用した、まさにサヴィル・ロウのスタンダードの400g/mの生地で、ワイドピッチなども含め、ストライプのバリエーションが充実している。品質的には間違いなく、しっかりした生地を好む人には絶対的なオススメ生地だ。ほかに、330g/mの“プルミエ・クリュ”、春夏では240g/260g/mのハイツイストウール“ミスティーク”が有名。
※リニューアルバンチは8月下旬より展開予定。

PORTER&HARDING “Hartwist”(右)カントリースポーツを愛したジョン・ポーターとビル・ハーディングによって1947年に設立されたポーター&ハーディングは、スコットランドのカントリー用生地の専門マーチャントで、“ソーンプルーフ”(390-560g/m)など、英国原産のチェヴィオット種の羊毛を使用したツイード地が特に有名。“ハーツイスト”は、硬くて丈夫なチェヴィオット種と、ソフトでしなやかなクロスブレッドと呼ばれる混血種の毛をツイストし、唯一無二の個性をもった生地に仕上げている。560g/mでドライなタッチゆえ、非常に趣味性の高い生地コレクションとなっている。
※リニューアルバンチは8月下旬より展開予定。

 英国最大のファミリーマーチャントであるLBD-ハリソンズは、グループの中核をなすハリソンズ オブ エジンバラを筆頭に、計6つのブランドで構成されている。そのどれもが素晴らしい生地を揃えていて、これがツウの心を滅法そそるのだ。同グループのW.ビルのアイリッシュリネンやHレッサー&サンズのラムズゴールデンベールあたりも最高にクールだが、来たる秋冬に向けて今回オススメしたい生地は3つ。21マイクロンの原毛を使用した52番双糸で織り上げたスミス ウールンズの“ボタニー”、48番双糸で織り上げられたハリソンズ オブ エジンバラの“オイスター”(春夏まではリア ブラウン&ダンスフォードの中にあったバンチで人気が高かったのでご存じの方も多いはず)、そして8.5番手という超低番手の撚糸で織られた梳紡毛でドライタッチな560g/mのポーター&ハーディング“ハーツイスト”だ。

 オーセンティックな品質の高さを求めるなら、ベーシックで美しい無地色のバリエーションが充実している“ボタニー”が面白いし、あるいはトレンドからは外れたファンシーなストライプなども揃えつつ間違いない品質の“オイスター”がオススメだ。趣味性の高い生地を狙うなら、本特集内でナンバー1の強烈な個性を誇る“ハーツイスト”で決まりだろう。

 どの生地を選んでも10年、20年と付き合っていけるし、着るほどに身体に馴染んでくる英国生地特有の楽しさを味わうことができる。

LBD-ハリソンズは
英国最大のファミリーマーチャント
LBD(リア ブラウン&ダンスフォードの略)-ハリソンズ グループは、ハリソンズ オブ エジンバラを筆頭に、Hレッサー&サンズ、スミス ウールンズ、W.ビル、リア ブラウン&ダンスフォード、ポーター&ハーディングの6ブランドで構成され、素晴らしいことにどのブランドも超英国然としていて強い個性を放っている。どれも既製品ではあまり使われないものの、それらはビスポークにふさわしいクオリティを誇り、サヴィル・ロウを筆頭にオーダーの世界では高い人気を誇っている。

本記事は2020年7月27日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 35

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