September 2015

Sex, Drugs and Moroccan Roll

背徳の街に集ったセレブリティたち

by nick foulkes

双子のクレイ兄弟、レジーとロニー。1960年代に撮影。

ゴミ箱に成り下がった街 ハイソサエティと低いモラル、ホットなゴシップ、そしてセックスとドラッグの誘惑。すべてをミックスしたこの街は、カポーティをはじめとした多くの人間にとって、たまらなく魅力的だった。とはいえ、すべての人が魅了されていたわけではない。

「街はペンキがはげ、通りには唾やおしっこだけでなく、もっとひどいものまで落ちている」と、イアン・フレミングは述べている。『007』シリーズの作者である彼は、タンジールに住む人間に対して否定的だったのだ。

「アラブ人は下品で、ヨーロッパ人全員のことを嫌っている」とも述べていた。

 そんなフレミングだが、少なくとも他人と自分の両方に対して公平な見方をしており、自分自身についての評価も厳しい。「自分は面倒なことが大嫌いな人間」で、「悪口を言うか花をいじる以外、何もやることがない」と告白している。

 フレミングがタンジールを訪れたのは、この都市が主権国家となったモロッコに再統合された翌年のことだ。モロッコ政府もまた、フレミング同様に、ヨーロッパ人やアメリカ人のゴミ箱に成り下がったこの街に対して批判的だった。

 モロッコの独立後、タンジールの街は急速に浄化されていく。それでも1960年代までは、悪いうわさは依然としてちらほら聞かれた。

 イギリスの悪名高いギャングスター、クレイ兄弟が“ブルース・ブラザーズみたいな”スーツを着て、頭にハンカチを結び、パンツの裾をロールアップした姿でビーチにいるのも目撃されている。ロニー・クレイは、未成年のゲイのセックス相手をあさりに来ていたのだ。

 80年代後半には、マルコム・フォーブスが盛大なパーティを開催し、エリザベス・テイラーからヘンリー・キッシンジャーまで、ありとあらゆる人を招待していた。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 05
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