Friday, July 24th, 2020

THE DEVIL WEARS KENT,HASTE & LACHTER

ケント・ヘイスト & ラクターを着た悪魔

テリー・ヘイストがニック・フォルクスにハウスツイードのデザインを考えるよう頼んだ。
THE RAKEのコントリビューティング・エディター=“悪魔”の本領発揮である。
text nick foulkes photography kim lang

Nick Foulkes / ニック・フォルクスオックスフォード大卒。THE RAKEのコントリビューティング・エディターを務める傍ら、世界中の新聞、雑誌などに寄稿している。欧州きっての著述家、ファッション評論家。20冊以上にも及ぶ著作はジェームズ・ボンドから、シガー、往年の上流階級、ファッションまで幅広い分野をカバーしている。ファッショニスタとしても有名で、その着こなしに注目が集まっている。

 人々がアルコールやドラッグの問題を抱えているように、私はツイードの問題を抱えている。私はそれを、十分に入手することができない。なぜなら、いくら手に入れても、決して十分にならないからだ。事実、いくら作っても満足できない。私にとって“十分な量のツイード”はありえないことなのだ。

 ボズウェルの『サミュエル・ジョンソン伝』を地で行きそうになった。つまり“ツイードに飽きた人とは、人生に飽きた人だ”ということだ。

 ツイードの美しさの理由は、その完全な趣味性だ。もし1920年代の登山家、ジョージ・マロリーの時代にエベレストに登ったり、ヴィクトリア女王とアルバートのお気に入りのギリー(屋外使用人)であるジョン・ブラウンと狩猟に行くのだったら、それは最先端のパフォーマンスの生地だったかもしれない。しかし最近では、ドラマ『ダウントン・アビー』や『ピーキー・ブラインダーズ』のエキストラにでもならない限り、ツイードで作られた服は必要なくなってしまった。

 それで、テリー・ヘイストに、「テーラーのハウスツイードを、ひとつデザインすることに興味はあるでしょうか?」と聞かれたとき、私は「なぜひとつだけなんだ、それは少し腰が引けていないか?」と答えた。もしわれわれがひとつだけと決めてデザインを始めていたら、最終的にキリがなくなってしまっただろう。最後に、彼は根負けして、私に「では、3つではどうでしょう」と提案してきた。

KENT & HASTE
Sackville Street, London, W1S 3DE
TEL.+44 020 7734 1433
www.kenthaste.co.uk/

ジョン・ケント氏(左)と、彼の秘蔵っ子、テリー・ヘイスト氏(右)。ふたりのカッターが仲良く作業をしているロンドンのテーラー。エディンバラ公のロイヤルワラントを持つ。ニック・フォルクスの行きつけ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 34
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