Photographer Elliott Erwitt -Interview-
写真家エリオット・アーウィット インタビュー
“伝説”が語ったこと、写したもの
April 2019
1956年に撮影された初期の代表作「カリフォルニア・キス」。サイドミラーに映る幸福そうなカップルの顔、海沿いに停められた車、50年代の西海岸、アメリカンドリームを鮮明に捉えた、斬新な二重フレームの構図を持つこの作品は一度見たら忘れることはない。
20世紀の写真史に名を残す伝説のフォトグラファー、エリオット・アーウィットは2018年7月26日に90歳を迎えた。ジャーナリズム、コマーシャル、フィルムと、いずれもその第一線で60年以上にわたり活躍。世界的な写真家集団マグナムの中核を担い、報道記録という意義を超えた「ヒューマニズム」を、写真による芸術表現によって追求。誰もが持つだろう、人生の決定的な瞬間をユーモアとアイロニー、温かさと美しさで表現した写真は世界中で愛されている。
最初の質問は初めから決めていた。
90年間、エリオット・アーウィットでいるのはどんな気持ちなのだろうか?
その目は一点の曇りもなく、飄々とした口調で「実に長い時間だ。できるなら50歳に戻りたいよ」と答えた。「50歳の時はもっとエネルギーがあって、もっと色々な場所へ旅行できた。まだまだ私にはやりたいことがあって、残された時間は少ない。私はよく旅行をした。旅行をすると新しいことを知ることができる。写真を撮る時に必要なのは新しいことに驚くこと、学ぶこと、違う人々や習慣に言葉、見慣れているものと違うものを見ることだ。その違いが人生の面白さだ」