MR.VICE GUY
俳優:サム・ロックウェル
アンチヒーローを極めた男
April 2024
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ロックウェルは同作の脚本家ジャスティン・セローと親しく、また、「アベンジャーズ」のファンを自認しているため、出演依頼をすみやかに承諾したという。
愛されるキャラクター 超大作に進出しても、ロックウェルのインディペンデント映画への情熱は薄らぐことはなかった。マーティン・マクドナーと仕事をするのは時間の問題だった。マクドナーは、現役のインディペンデント映画製作者としてはおそらく随一の存在であり、『ヒットマンズ・レクイエム』(2008年)、『セブン・サイコパス』(2012年)、前述の『スリー・ビルボード』といった名作の脚本と監督を担った人物だ。ロックウェルは『セブン・サイコパス』と『スリー・ビルボード』に出演し、両作でウディ・ハレルソンと共演した。ハレルソンは次のように話す。
「サムは極めて非凡な俳優。共演できて大興奮だったよ。プロフェッショナルな仕事相手だけれど、特に何もせずに話をするだけでも楽しい人なんだ。それに彼は非常に精力的で、各シーンで必ず新しいことを試してみる。『セブン・サイコパス』では、食べていたチートスを投げてきたこともあったな。僕は意外なことが大好きだし、あの演技は素晴らしかった」
アンチヒーローを極めようとしてきたロックウェルの努力は、『スリー・ビルボード』で結実する。彼が演じたジェイソン・ディクソン巡査というキャラクターが抱えているのは、人間の複雑な心情と社会通念に対する挑戦心だ。ABBAが大好きでマザコンのこの警官は、暴力的で人種差別的で、スクリーン上でとんでもない行動に出る。読者の諸兄は彼を許せただろうか? 演じた本人も迷ったようだ。
本記事は2020年1月24日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 32