Exclusive Interview: JOSH BROLIN
HOPE FLOATS

俳優ジョシュ・ブローリン:宙を舞う希望

June 2021

text tom chamberlin
photography kathryn boyd brolin

「この仕事を始めて間もない頃、重要なシーンに向けて、よく自分にビンタを食らわせたものだよ。演技とは気恥ずかしいことだらけで、役者という職業は撮影現場100人の前で道化師になることなんだ。4回目のテイクで面白くも何ともなくなったジョークを、28テイクになっても繰り返しているような状態だよ。役者の技術は、100%の確信が毎テイク必要だと気づくことにある。観客は初めて目にするものだからね。スパイク・リーやオリヴァー・ストーン、コーエン兄弟が素晴らしいのは、自分がその作品に最適な人材としてそこにいると感じられる雰囲気をきちんと作ってくれることだよ」

大御所ショーン・ペンとも共演 2008年は政治色の強い役どころばかりだった。オリヴァー・ストーン監督の『ブッシュ』でブッシュ大統領役を演じた後、『ミルク』で政治家ダン・ホワイト役としてアカデミー賞にノミネートされる演技をした。ショーン・ペンが演じたハーヴェイ・ミルクは、ゲイであることをカミングアウトして公職に当選した初の政治家で、ホワイトに殺害された人物だ。

「ショーンと僕の演技はいつもスムーズだったよ。ショーンの前では多くの人が畏縮するけど、僕はそうじゃなかったからかもしれない。彼を“ショーニー”と呼ぶと、周りがざわつくんだ。でも親しみを込めた呼び名だから許してくれているよ。本当に優しくて聡明な人なんだ」

 そんなブローリンとペンは、2013年の『L.A.ギャングストーリー』で再び共演する。ふたりは互いの大嫌いな相手を演じた。ブローリンは『ミルク』のダン・ホワイトについてこう付け加える。

「意識したのはジタバタともがく姿。小さな池の中の大きな魚のように暮らしてきた男が、巨大な池に放り込まれて小魚になり(ここで彼は幼児のかんしゃくを真似る)、“違うもん、こんなんじゃないもん、話を聞いてくれないんだもん”と泣き言を言う。生まれ育ったコミュニティでキリストの再来と持ち上げられた彼は、自分が一番上でないことや、常に支配者でいられないことが、どんな状態かを知らない。一方、ハーヴェイ・ミルクはあらゆることのために闘わなければならなかった。自分の話に耳を貸してもらうための苦労がどんなものか知っていたんだね」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 39

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