Exclusive Interview: JOSH BROLIN
HOPE FLOATS

俳優ジョシュ・ブローリン:宙を舞う希望

June 2021

text tom chamberlin
photography kathryn boyd brolin

「初めて兄弟に会ったとき、僕は役をもらえないと思い込んでいた。僕の映像を見た彼らの感想が、“照明は誰がやった?”というものだったから。演技についてはコメントすらしなかったんだ」

 だがやはり、『ノーカントリー』にはブローリンの貫禄と繊細さが必要だった。アカデミー賞では8部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚色賞、助演男優賞(ハビエル・バルデム)に輝いた。コーエン兄弟についてこう語る。

「エゴのない仕事をしていることが嬉しかった。彼らは何をするにもエゴとは無縁。ただ、極めて才能のある、用意周到なふたりなんだ。彼らの発言は、皮肉でなければ省略表現なんだと知らされてね。僕が最初のシーンを演じたとき、イーサン・コーエンがやってきて、“見事なロバート・デュヴァルだ”と言われた。“何だと?役者にそんなことを言うもんじゃない、それでサポートしているつもりなのか?”と思ったよ(笑)。僕らの関係は、皮肉が出発点だった」

 とはいえ彼らはその後も3本の長編映画でタッグを組んだのだから、勝利の方程式があるのは明らかだ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 39
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