July 2020

Exclusive Interview: CHRISTOPH WALTZ
LORD OF THE DANCE

悪役の天才:俳優クリストフ・ヴァルツ

text nick scott photography brian bowen smith fashion direction grace gilfeather

『ターザン:REBORN』(2016年)。

 ヴァルツは、1956年にウィーンで、演劇と関わりの深いファミリーに生まれた。母方の祖母は、ウィーンにあるブルク劇場の女優であったマリア・マイエン。義理の祖父、エメリッヒ・ライマースもまたブルク劇場で俳優をしていた。母のエリザベス・ウルバンチッチは衣装デザイナーとして、また父のヨハネス・ヴァルツはドイツで舞台美術家として働いていた。ヴァルツは、ウィーンにあるマックス・ラインハルト演劇学校とニューヨークにあるリー・ストラスバーグ演劇研究所で学んだ後、住居を構えたロンドンから劇場のあるドイツに通い俳優としてのキャリアをスタート。以後30年ほど、舞台の傍らテレビや映画の仕事をこなしていた。

 転機となったのは、歴史に残るドイツの子ども向けテレビドラマと、イギリスのテレビ番組に出演したことである。80年代後半には連続ドラマ『The Gravy Train(原題)』のドクター・ハンス=ヨアヒム・ドーフマン役を、90年代初めにはコメディ番組『The All New Alexei Sayle Show(原題)』の中で「ウィーク・ムスタッシュ(口ひげの弱虫)」と呼ばれるドイツ人の悪役を演じた。

タランティーノが惚れ込む実力 ヴァルツがクエンティン・タランティーノ監督の目に留まったのは、彼が50代になってからである。第二次世界大戦を取り上げた映画『イングロリアス・バスターズ』(2009年)で、親衛隊大佐のハンス・ランダ役に抜擢されたのだ。タランティーノ監督はキャスティングについてこう語っている。

「ランダは私が書いた作品の中で、おそらくこの先においても、最も素晴らしい悪役だろうね。ヴァルツがオーディションに来なかったら、ランダのシーンはカットしようと思っていたんだ。オーディションに来た他の俳優たちは皆、イメージとまったく違っていたから。誰も演じることができない役を書いてしまったと思ったよ。彼が現れるまではね」

本記事は2020年5月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 34

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