July 2020

Exclusive Interview: CHRISTOPH WALTZ
LORD OF THE DANCE

悪役の天才:俳優クリストフ・ヴァルツ

text nick scott photography brian bowen smith fashion direction grace gilfeather

2度目のアカデミー賞助演男優賞を受賞した『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年)で、ジェイミー・フォックスと。

 ヴァルツはさらにこう続ける。

「ボンド映画は、確実に集合意識の一部を形成しています。子どもから大人まで、誰もがボンドのことを知っています。15歳で初めて映画を観た人は今や70歳を迎えようとしているのですから。実際、人々はいまだにボンドを話題にします。ツァイトガイストを直接的に扱っているからです。ひとつのポップカルチャーが歴史的現象へとゆっくりと変化していく。本当に魅力的です」

 社会的な注目度は、その役を引き受けるかどうかを決める際に重視する要素や基準と同じなのだろうか? 彼は優しげな笑顔を浮かべながら、こう言った。

「まったく同じではありませんよ。演じる上でハードルを上げることはあるかもしれませんが(笑)」

華麗なる“ヴァルツ”一族 ウィリアム・ワーズワース、ウサイン・ボルト、ポーカー世界大会チャンピオンのクリス・マネーメーカーといった有名人のように、奇妙なまでにその人の職業や性格にふさわしい名前であることをアプトロニムという。彼らの場合はちょっとした言葉遊びのつもりだったのかもしれないが、オーストリアのチロル地方西部の民族音楽から生まれたダンスを指す単語であり、ドイツ語で「回転する、好転する」を意味する「Waltz(ヴァルツ)」と名づけられた当時53歳の俳優は、大成功を収めて人生が“好転”した。彼はそれまでの30年間にどれほどもどかしい思いをしてきたか、正直に語ってくれた。

本記事は2020年5月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 34

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

Contents