July 2020

Exclusive Interview: CHRISTOPH WALTZ
LORD OF THE DANCE

悪役の天才:俳優クリストフ・ヴァルツ

『モンスター上司2』(2014年)。

「実際、私たちは大した能力も持たない人間に統治されています。そのせいで、どう考えても凡庸な成果しかもたらされないのです。私たちの生活に影響を及ぼすような者は、優秀な人間でなければなりません。その違いは非常に大きいのです。ひとりの人間が私たちにどれほど大きな影響力を与えることになるかというと、例えば、野生の動物が獲物を自分の巣穴に持ち帰るのと同じように、世界中の多くの人々の生活が引きずり込まれることになります。私が言っているのはもちろん、第45代アメリカ大統領のことです。彼の言動には心底ゾッとします」

 ドナルド・トランプ大統領を評価していないということだろうか?

「彼に敬意を抱いたことは一度もありません。ブロフェルドがパワーゲームの“専門家”であるのに対し、彼は教養のない原始的なクロマニョン人です。組織の後ろ盾があるのをいいことに弱者を抑圧しています。美味しいワインやシガーの話から、いつの間にか政治へと話題が変わってしまいましたが(笑)、洗練された嗜好品は生活を豊かで楽しいものにしてくれるのに対し、野蛮で無教養な統治者は地球上の人々に強烈な一撃を打ち込むようなものなのです」

 成功するのが難しいこの世界において、多くの人々が投票箱を前にして“最強である”ことよりも“最も害の少ない欠陥”を考えざるを得ない理由について、ヴァルツはこう説明する。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 34
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