BADMAN FOREVER

俳優:ランドルフ・スコット
永遠のガンマン

May 2021

text stuart husband

カリフォルニアの自宅で。

 帰国した彼は、1通の紹介状を携え、友人とカリフォルニアへ旅に出た。紹介状は、風変わりな大富豪で映画会社のトップだったハワード・ヒューズに宛てて彼にツテのある親族がしたためたもので、ロケ現場を見学させてやってくれないかという内容だった。ヒューズは依頼された以上のもてなしをした。スコットは後にこう回想している。

「彼は僕らに、ちょっと仕事しないかと提案してくれた。それでエキストラをやることになったんだ」

 スコットの長い手足が醸し出す優雅さや、彫りの深い端正なルックスを気に入ったヒューズは、スコットがオーディションを受けられるよう手配した。そして映画監督のセシル・B・デミルが、自身初の発声映画『ダイナマイト』(1929年)でスコットをエキストラとして起用する。思いがけず俳優という職業と出合ったスコットは、ハリウッドの劇場で下積みをし、1931年にパラマウント社との契約にこぎ着いた。彼は後に、俳優人生のきっかけについてこう語っている。「僕は運命を強く信じていてね。物事は知らないうちに図らずも起きるのだと思う」

 デビュー後、スコットはさまざまなジャンルの作品で経験を積んだ。ジンジャー・ロ自分の演技が、西部劇では有利に働くことに気がついたジャースやフレッド・アステアも出演する『ロバータ』(1935年)のようなミュージカル作品や、『浮気名優』(1936年)のような喜劇作品、また、彼の眉目秀麗な魅力が隠れてしまったが、戦争映画にも出演した。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 39

全てのストーリーはIssue39にてお読みいただけます

お得な定期購読<紙版・デジタル版>はこちらより

1 2 3 4

Contents