June 2019
A super sad true love story
悲劇の写真家、ボブ・カルロス・クラーク

『Vicky & Vanessa(ヴィッキーとヴァネッサ)』(1999年)
© THE ESTATE OF BOB CARLOS CLARKE / THE LITTLE BLACK GALLERY
カルロス・クラークはこの頃、自身の方向性を左右するもうひとりの重要な(かつ謎めいた)人物と知り合った。
“ザ・コマンダー”と呼ばれたこの男性は、「非の打ちどころのない、60代の銀髪の紳士」で、彼にロンドンのフェティシズム界を紹介した。
この時カルロス・クラークの興味をかき立てたのは、フェティシズムの行為よりも、ラバーに身を包んだ女性を撮るというアイデアだった。フェティシズムはニッチで物議を醸しやすいジャンルだったが、彼は躊躇しなかった。それどころか、その後の10年間は、ピンヒールをはいた女性たちを、ひたすら撮り続けた。
「おかげで10年後には、自分でも恥ずかしくなるような評判が定着し、田舎のアダルトショップの代名詞になったよ」