A DUET OF WARP AND WEFT
縦糸と横糸のデュエット
May 2019
photography kim lang
デニムシャツとポケットチーフを合わせると、このスーツは驚くほどモダンな一着となる。
思想家ラルフ・ウォルドー・エマソンは、「身なりが完璧に整っているという自覚は、心に平穏感をもたらしてくれる。これは宗教には与えられない感覚だ」と述べた。これこそケント氏とヘイスト氏の取り組みを表す言葉とも言える。
当然ながら、私たちは今回の試みで使用する生地を選ばねばならなかった。このような場合、私たちが頼るのは、由緒あるファミリー経営の生地メーカー、ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VBC)社である。そして今回もVBC社は、目を見張るような9オンスの生地を、ひと巻き送ってくれたのだ。
柔らかくしなやかで、滑らかな手触りと軽やかな着心地を備えたこの生地は、くっきりとした細いピンストライプ柄だ。イタリアと英国の感性を兼ね備えた生地をデザインしたなら、まさにこんな感じになるだろう。私たちはケント氏とヘイスト氏に依頼し、この上質なイタリア製生地を使って、4着のダブルスーツを仕立ててもらおうと考えた。
生地の軽さは“諸刃の剣” 比較的落ち着いた仕上がりになったのは、6つボタン2つ掛けのダブルブレステッドという、ハウススタイルにおおむね沿った私自身のスーツだ。身長が193cmもある私は、生地をごっそり使ってしまった。だが、ピンストライプには着やせ効果があるらしいので、その点は助かった。
身長193cmを誇る、THE RAKE 本国版編集長、トム・チェンバリンのスーツ。縦縞は着る人をスマートに見せる。