Wednesday, February 27th, 2019

UNPEELING THE BIG APPLE
N.Y.流スタイルとは何か?

text yoshimi hasegawa photography rose callahan

Yuhei Yamamoto
山本祐平

アメリカ映画の薫陶を受け、名店ボストンテーラーを経てアメリカントラディショナルの伝統を継承するテーラーケイドを2002年東京、渋谷にオープン。ゴールデンエイジのマディソンスタイルの美学を現代のスーツに反映した独自のスタイルには国内外ともに定評がある。アーモリーNY 店ではトランクショーを年2回開催。

米ゴールデンエイジの継承

テーラーケイドを主宰する山本祐平氏がアーモリーのマーク・チョー氏と共同開発したモデル99(ナインティナイン)。
今、ニューヨークで話題を呼んでいる新たなアメリカンスタイルの全貌に迫る。

 1849年、ブルックス ブラザーズが既製服を発売し、1918年にはアイコニックなNo.1サックスーツが登場する。
 肩パッドのないナチュラルショルダー、フロントにはダーツがなく、ラペルは段返りの3つボタンを持つスーツは現在もアメリカンスタイルの代表とされている。
 2018年、満を持してアーモリーとテーラーケイドの山本氏が提案するのが、新たな時代にむけたアメリカンスタイル、モデル99である。
 この今までにないアメリカンスタイルのスーツは、ブルックス ブラザーズをオリジンとするアメリカンスタイルのサックスーツを進化させ、アーモリーの考えるモダンなヨーロピアンスタイルをミックスして完成したものだ。
 山本氏は1920年代から続いているアメリカの男たちのスタイル、特にニューヨークの男たちによって作られた60年代マディソンスタイルのクラシックな美しさを理想とし、自身の手がけるビスポークスーツに反映させている。
 もともとアメリカンスタイル=既製服という概念のあるアメリカで、日本人が昇華させたアメリカンスタイルのビスポークスーツは、ニューヨークの顧客に衝撃を与えた。
 また同時に、ニューヨークのトランクショーで会う顧客から、山本氏も大きなインスピレーションを受け取ったことが、このモデルを誕生させるきっかけとなったと語っている。
「ニューヨークには昔からクラシックな男たちの着こなしが息づいている。こうしたアメリカの男たちのグラマラスさ、彼らの習慣やマナー、ライフスタイルに基づいた着こなしがあります。そこにはNo.1サックスーツだけじゃない、アイビースタイルとか、ひとつの形にとらわれない普遍的なクラシック、トレンドとかファッションだけではないものがある。彼らのリアルなライフスタイルに根ざしたスーツをアーモリーを通して作りたいと思ったのです。今回こうしてスーツの本場ニューヨークで、新しい時代のスーツを展開できるのはとても光栄ですね」
 一方で、山本氏とともにこのモデルを2年かけて企画、開発したアーモリーのマーク・チョー氏はモデル99に対して、時代にとらわれない、新たな発想から生まれたアメリカンスタイルだと語る。
「このモデルはセオドア〝テディー〟ルーズベルト元大統領の格言『棍棒を手に、穏やかに話せ』がテーマになっています。つまり、最初の印象では控え目でわからないかもしれませんが、細部にアメリカンスタイルならではの美しく、力強いディテールが施されているのです。ナチュラルショルダーでリラックスした雰囲気を持ちながら、肩にはシャープさを出すために薄いパッドがあります。胸のキャンバスはイングリッシュドレープほどハードではないが、ナポリタンほどソフトでもない。自然な空気感があるのです。どの時代のスーツというよりは、これは精神的なもの、派手に目立つことなく、誰もが安心して着用できる、新しいアメリカンスタイルへのアプローチなのです」
 ニューヨーク店の顧客のひとりもアーモリーとモデル99を絶賛する。
「モデル99はアーモリーだからこそ作ることのできた新鮮なアメリカンスタイル。ニューヨークにはこれまでこのような店は存在していなかった。今まで誰も知ることのなかったクラフツマンに出会えるのは素晴らしいことです。ミスター・ヤマモトは普段会ったら一緒に飲みに行きたくなるようなクールガイ。優れた職人である彼らにスーツを作ってもらうのは楽しい体験です。今までマークはニューヨーカーが知らなかった、世界のクラフツマンシップへの扉を開いたのです」
 No.1サックスーツから100年後の今、グローバルな視点から生まれたメイド・イン・ジャパンに注目が集まっている。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 25
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